石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『ときめき☆もののけ女学園(2)』(南国ばなな、一迅社)感想

ときめき☆もののけ女学園 2 (IDコミックス 百合姫コミックス)

ときめき☆もののけ女学園 2 (IDコミックス 百合姫コミックス)

完結編。貝合わせにこだわり過ぎててやや幻滅

妖怪×人間の百合ギャグ漫画、完結編。主人公・あられと猫股のキリの愛が深まっていくところはいいんだけど、貝合わせにこだわり過ぎてるところにちょっとがっかり。BLにおける挿入至上主義とよく似た匂いを感じてしまって、もやもやしました。絵の美しさやギャグのキレ、エロシーンの色っぽさなどは、1巻と同じくよかったんですけどね。

「セックス=性器の結合=大人」みたいなノリがどうにもこうにも

1巻の「下のお口でキスすると相手と同種の妖怪になってしまう」という伏線を回収すること自体は、別にいいんです。でも、そこでなぜか「女同士のセックス(の最終目標)=下のお口でキスすること」みたいなノリになってる点がひっかかりました。これじゃまるで、アナルセックスだけが「本当のセックス」だとするBLとたいして変わらないのでは。

念のため言っておくと、作品中でそこまではっきり貝合わせ至上主義が明言されてるわけではないんですよ。でも、貝合わせが

  • 「恋人同士なら普通のこと」(p. 11)
  • 相手の身体を触っているうちに「我慢できなくなって」してしまうこと(p. 13)
  • 「大人になったら」すること(p. 118)

などと表現されている点が、やっぱり気になります。あと、貝合わせまで至らない行為では結局一度もオーガズムに到達しないところも。せっかく女のコ同士のお話なのに、「性器の結合こそが本当のセックス、それ以外は『前戯』」みたいなヘテロ的イデオロギーの呪縛を感じてしまって、萎えました。

でも、このへんはよかったです。

まず絵。相変わらず描線が美しく、女体描写も色っぽかったです。エロシーンもエグさがなくて好印象。ギャグは1巻に比べれば分量控えめですが、深刻なはずの場面でねぎダンスを踊ってみせるアホっぷりなど、楽しく読みました。

まとめ

正直、2巻に入って失速した印象は否めません。別に下のお口をくっつけなくてもいくらでもエロエロヌレヌレなHは可能なのに、そこを完璧無視して貝合わせにこだわりまくるところが、あたしには不可解でした。「下半身の結合こそが『本番』」みたいなヘテヘテなイデオロギーの気配があり、1巻ほど楽しめない感じ。絵やギャグのセンスはとても好きなんだけどなあ。残念。