石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『君が僕を(4)〜将来なにになりたい?』(中里十、小学館)感想

君が僕を 4 (ガガガ文庫)

君が僕を 4 (ガガガ文庫)

えらく難解な最終巻

商売繁盛の神様“恵まれさん”をつとめる女子中学生「真名」と、真名に惹かれるクラスメイト「淳子」の物語、完結編。これまでにも増して禅問答のような内容でした。2回通り読み、さらに1~3巻も改めて読み返してみたのですが、正直よくわかったとは言い難いです。すまん、ギブアップ。

特にエピローグの「時間の影」についての会話がわかりそうでわからず、喉に小骨がひっかかったみたいになってます。般若心経で言うところの「是諸法空相、不生不滅、不垢不浄、不増不減」みたいな話なのかしら。だから真名は「時間の影」を信じるなと言っているのかしら。でも、やはりこの解釈にも確信が持てないし、結論としては「よくわからん」としか言えません。悔しいな。

冒頭に収録されている『娘より』(記・絵藤知恵)にも、どことなく隔靴掻痒感が漂います。面白く読めはするんだけど、「パズルのピースがはまりそうではまらない、でも本当ははまっているのかもしれない」的なもどかしさがあるんです。

ちなみに女のコたちの湿り気をおびた柔らかさや、少し毒のあるラブシーンなどは、いつも通りよかったです。エロを最後の最後に持ってくるという構成も、これまで通りですね。でも、それ以外の部分での読者突き放し度は、おそらくシリーズ4冊の中でもっとも高いんじゃないかと。

1巻から通して読んでみると、巻を追うごとにラノベ臭が減り、独自のカラーが濃くなっていくことがよくわかります。最後の最後でもっともやりたいようにやった結果がこの4巻になった、ってことなのかもしれません。

まとめ

正直、よくわからない内容だったので評価はパス。少し頭が冷えてから、もう1回じっくり読み返してみようと思います。