- 作者: 石見翔子
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2010/11/27
- メディア: コミック
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毒と甘さの配分絶妙
新聞専売所が舞台の百合4コマ。相変わらず、ほのぼのとしたトーンの中に毒やあやうさを仕込む手さばきが秀逸でした。キャラたちのダークな側面はもちろん、検閲ネタや大人の都合で口に出せないネタなども、スパイス多めで楽しかったです。百合方面も美味しゅうございました。ユメとユーキのガチカプのみならず、かなとみかの中学生ペアにまで性的な暗示が多く見受けられるところが、特に面白かったです。
スパイス多めの部分について
まず世相をチクチクと刺す検閲ネタがばつぐんに良かったです。きわどい台詞を「エロお姉さん」のはるかではなく、かなやひなたのような意外なキャラに担当させるという工夫がナイス。また、新聞業界の闇その他、大きな声では話せない話題ギリギリに迫るギャグもみごとでした。天然なはずの主人公・かなの、もはやみかを手のひらの上で転がしている感のある悪魔っぷりも楽しかったです。1〜3巻もそうでしたが、「萌え」や「カワイイ」だけでは絶対に終わらないこの奥行きの深さが好きです。
百合部分について
ユメとユーキのバカップルぶりは今回も絶好調。割れ鍋に綴じ蓋というべきか、黒いところもイタいところも全部まとめてジャストフィットな2人であるところが小気味よかったです。体の関係についても、ユメの
という天真爛漫な発言(p. 71)の深さといい、後でそれに気づいて悶絶するかなの姿といい、うますぎ。むしろ掛け布団をめくりあげたりほおり投げたりするよ!
かなとみかについては(まだ)肉体的なあれこれはないとは言え、お互いにそういうことをする(かもしれない)相手として意識しているというところがポイントです。典型的なのが、かなの
などという悶々シーン(p. 77)。また、かなの自覚なき爆弾発言(複数)に妄想スイッチが入ってしまうみかの姿にも、ニヤニヤさせられました。そのものずばりの絡みの場面などひとつもなくても、女のコ同士のセクシュアルなニュアンスはここまで表現できるものなのですね。し…下着も替えた方がいいのかなあああ
その他いろいろ
- キャラの掘り下げ方がいつも通りていねいでした。各キャラに機械的にひとつの属性を割り振って終わりではないところがすばらしい。代表的なのが今回も登場する「キレイなはるか」ですが、その他のキャラにもみな意外な側面があり、見ていて飽きませんでした。
- 考えオチが今回も楽しかったです。「万人にわかるんですかこれ」と思ってしまうほどにストイックなギャグの仕掛け方(幼稚園バスのネタとか)がよかった。
まとめ
今回も面白かったです! ギャグのパワーもさることながら、心情描写やエロティックな暗示にかけては、そこらの萌え百合4コマを周回遅れで抜き去っていると思います。軽やかなブラックユーモアが全体をうまくまとめあげているところもよかった。おすすめ。