石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『Transparent』1×1 "Pilot"感想

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Amazon Studioの製作による、LAが舞台の家族コメディ。脚本・監督は『シックス・フィート・アンダー』のジル・ソロウェイ。この第1話(パイロット版)は、Amazon.comで無料で見ることができます。英語字幕もついてて見やすいです。

物語の主役は、LAに住むとある白人一家。父親と母親は何年も前に離婚していて、成人した子供が3人います。Jeffrey Tambor演じるところの父親は、実はトランスジェンダー。老境にさしかかった今、女性として生きようと決意するんだけど、子供たちがみんなあまりにも人の話を聞かないためうまく話を切り出せずにいるところ。早い話が、タイトルの『Transparent』というのは、「トランスの親」の掛詞でもあるんですね。家族でバーベキューを食べながらの、まるで噛み合ってない会話の場面がおもしろかったです。


Transparent - A Big Change - YouTube

一方、娘のサラ(Amy Landecker)は、夫とうまく行ってないところに大学時代の元彼女・タミーとうっかり出会ってしまい、大変なことに。ものすごく笑ったのが、サラが子供の学校で元カノに会ったと妹のアリ(Gaby Hoffmann)に打ち明けるところの会話。ざっくり訳すと、こんな感じ。

アリ「タミー・マザーファッキン・キャッシュマンに会ったの? レン(訳注:サラの夫)は子供たちが同じ学校に行ってるって知ってるの?」
サラ「なんでレンがそんなこと気にするのよ」
アリ「そうねえ、あなたたちふたりが大学在学中ずっとレズってたからじゃない?」
サラ「あのね、大学時代は誰でもそういうことを試すものでしょ」
アリ「冗談。あれはお試しじゃないって。ふたりで養子をもらおうって言ってたじゃん」
サラ「でも実現はしなかったから」
アリ「あらまあ。わたし、お姉ちゃんが電話をかけてきて、メキシコ人の男の子をふたり引き取るって言ってきたの、しっかり憶えてるんだけど」
サラ「エルサルバドル人よっ」

なんのことはない、サラもしっかり憶えてたわけですね。実は、そもそもサラがタミーと再会したときの表情からして、この先どうなるかは火を見るより明らかだったりするんですが。第1話ラストの衝撃(と、笑い)の展開が、とくによかったです。

ちなみにこの家族、お父さんとサラ以外も問題ありありで、第2話以降はそちらももっと掘り下げて描かれるんじゃないかな。前述のアリは仕事がうまくいかず、鬱屈した欲求をマッチョなパーソナルトレーナーとのエクササイズにぶつけているところ。弟のジョシュ(Jay Duplass)は若すぎるガールフレンドとつきあっているし、一家のお母さん(Judith Light)もなんだかエキセントリックな人です。憶測だけど、たぶんこのシリーズを貫くコンセプトは、第1話のお父さんのこの名台詞に代表されるんじゃないかと。

「やれやれ、見られたくないことを人に見られるのは、とてもつらいものだよ」
"Boy, it is so hard when someone sees something you do not want them to see."

このちょっとズレた、それでいてどこにもいそうな家族たちがこの先いったいどうなるのか、楽しみです。というわけでたぶん続きも購入して見ることになると思います。Amazonの思うツボですね。