石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

レズビアンを「短髪のブス」呼ばわりした英児童文学作家が謝罪

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映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』に抗議する女性たちを「うるさいレズビアン」と呼び、レズビアンとは「髪が短いブスで、長い間ペニスと縁がない」連中だとした英児童文学作家がFacebookで謝罪し、LGBTチャリティに寄付すると発表しました。

詳細は以下。

Children’s author apologises for calling lesbians ‘ugly women with short hair’ · PinkNews

この作家ロバート・マッチャモア(Robert Muchamore)氏は、英国の権威ある児童文学賞カーネギー賞も受賞した人気作家。代表作「CHERUB」シリーズは700万部売れているとのこと。そのマッチャモア氏が映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を見に行ったところ、この映画に抗議するグループに出くわしたんだそうです。で、こうなりました。

彼は上映に関して、「映画館に入っていく男性たちに向かって『あなたたちは全員レイピストだ』と叫んでいる、少人数だがうるさいレズビアンのグループ(ええと、ぼくがレズビアンにちがいないと見なした髪の短いブスたちで、どう見ても相当長い間ペニスと縁がないに違いない連中のこと)」が邪魔だったとするポストをFacebookに投下した。

He posted on Facebook about the screening, saying he was disturbed by a “small but noisy group of lesbians (well, ugly women with short hair who I assume were lesbians, and surely hadn’t had a penis anywhere near them in some considerable time) shouting: ‘You’re all rapists,’ to men entering the cinema.”

女性嫌悪とレズビアン嫌悪と容姿至上主義と異性愛主義の佃煮のようなご発言ですね。

ただ非常に面白いのは、彼が翌日Facebookに「立腹したすべての人に謝罪する」として発表したこちらの文章です。

自分を正当化しようとしたり、自分がいかにいい人であるかとか、どんなにたくさん同性愛者の友だちがいるかとか、ポジティブな同性愛者のロールモデルがたくさん出てくる本を書いているとかを長々述べたりするより、LGBTの人々の生活に実際的な効果があることをする方がいいだろうと考えました。

現在自分のTwitterには10218人のフォロワーがいるので、フォロワーひとりにつき1ポンドを同性愛者の権利団体に寄付しようと思います。寄付先は4箇所に分けるつもりなので、お金を送るにふさわしい団体名を遠慮なく提案してください。

それでもたくさんの人がぼくを狭量で身勝手なバカ野郎と呼び、ぼくがお金で逃げ道を買おうとしているなどと言うでしょう。そして彼らは基本的に正しいのですが、人がぼくについてどう思おうと、少なくとも実在の人間で、利益を得て、ぼくの謝罪がただの言葉だけのものではないということを受け入れてくれる人も中にはたぶんいることでしょう。

Rather than try to justify myself or droan on about what a nice guy I am and how I have lots of gay friends and write books full of positive gay role models, and I thought it would be better to make an actual difference to the lives of LGBT people.

I currently have 10,218 followers on Twitter so I'm going to donate £1 for every one of them to an gay rights group. I'll split the donation four ways, so feel free to suggest the names of groups who you think deserve the money.

Lots of people will still call me a bigoted selfish asshole, and say I'm trying to buy my way out of a hole and so forth. And they're basically right, but whatever you think about me at least some real people will benefit and hopefully accept that my apology will be more than just words.

10218ポンドというのは日本円で約190万円弱です、ちなみに。

この謝罪方法はいいな、と思いました。「自分がいかにいい人であるかとか、同性愛者の友だちがどんなにたくさんいるかとか」を長々述べる謝罪というのは結局、「差別とは悪い人がすることである」という前提があって、その上で「私は悪い人ではない」と一生懸命説明することだと思うんですよ。でも、その前提、間違ってますから。差別は誰でもします。いい人も、やさしい人も、愛情あふれる人も、賢い人も、誰でも。したがって、差別的行為を糾弾されたとき、「私はいい人」と主張することには何の意味もないと思うんですよね。

そもそも人間の内面なんてサイキックでもなければわからないんだし、悪意のなさや偏見のなさをいくら自己申告したところで無意味だということもあります。心の中で誰が何を思ってたって別にいい、大事なのは「その人が実際にどんな行為をしたか/するか」の1点のみです。ありがちな「私はいい人」アピールに走らず、より実効性のある寄付という行為に踏み切ったマッチャモア氏は、そういう意味で非常に現実的だし、誠実でもあるとあたしは感じました。

マッチャモア氏はまずナイジェリアとガンビアの同性愛者を支援する「カレイドスコープ・トラスト」と、北アイルランドのLGBT団体「レインボー・プロジェクト」にそれぞれ2555ポンドずつ寄付するそうです。「自分にはゲイの友だちがいるから差別者ではありません!」とかなんとか言いつのるより、この方が百万倍いいわ。