石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ゲイ男性の採用取り消しは違法 米マサチューセッツ州裁判所が判断

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米国マサチューセッツ州のカトリック校が、同性婚している男性の採用を取り消し提訴された裁判で、裁判所は2015年12月16日、この採用取り消しが州の反差別法に反しているとする判断を下しました。

詳細は以下。

JUDGE RULES AGAINST CATHOLIC SCHOOL IN GAY-HIRING RETRACTION

食品業界で20年以上のキャリアを持つマシュー・バレット(Matthew Barrett)さんは、2013年、同州ミルトンにあるカトリック系私立学校フォントボン・アカデミー(Fontbonne Academy)の給食部門管理職として採用されていました。しかしながら、バレットさんが緊急時の連絡先として夫の連絡先を書類に記入したところ、数日後に採用取り消しとなってしまったのだそうです。

学校側は、同性婚は同校の宗教的使命と合致せず、バレットさんの採用を取り消すのは憲法で認められている権利だと主張。しかしながら、マサチューセッツ州上位裁判所のダグラス・ウィルキンス(Douglas Wilkins)判事は、バレットさんの職種が給食関係だということを指摘し、判決文で以下のように述べたとのこと。

「フォントボンは教育機関としての使命やメッセージの監督権を損なわれてはいない。フォントボンは、バレットがそのメッセージを希薄化することができるようにせよと強制されているわけではない。なぜなら、彼は教師でも、聖職者でも、フォントボンのスポークスマンでもなく、同性婚の公的支援活動に従事しているわけでもないからだ」

"As an educational institution, Fontbonne retains control over its mission and message. It is not forced to allow Barrett to dilute that message, where he will not be a teacher, minister or spokesman for Fontbonne and has not engaged in public advocacy of same-sex marriage,"

判事はまた、同校にはバレットさんに逸失利益と損害賠償を払う責任があるとも認めたそうです。フォントボン・アカデミーが控訴するかどうかは現時点では不明。

おりしも今米国では、宗教団体が運営しているということを理由に、「タイトル・ナイン(Title IX)」という反差別法からの免除を申請する大学が増えつつあるところ。詳しくは以下をどうぞ。

そんな中、「同性婚しているという理由で採用取り消しにするのは差別」という判決が出たことは朗報ですが、判決文を見ていると「教員だったり、同性婚を支持する活動をしていたりしたら、クビにされても仕方ないということなのか?」という疑問も残ります。なおウィルキンソン判事はマサチューセッツ州の反差別法についても触れていて、それによると同州ではこの法律への宗教的免除が認められるのは「生徒も職員もすべてある特定の宗教の信徒のみ」としている学校だけであり、フォントボンはそれにあてはまらないからその意味でも違法だとのこと。このあたり、州によっても違うのかしら。職務上の能力と関係ないことを理由に職を奪うというのは、どんな場合であっても差別なんじゃないかと思うんですが。

このニュースを報じたPinkNewsの記事につけられていたこちらのコメントが秀逸でした。

もし彼(訳注:バレットさんのこと)がペドファイルだったら、学校はたぶん彼を昇進させていたただろうよ……

If he had been a paedophile they would probably have promoted him....

カトリック教会が小児性愛者の神父による性的虐待事件を揉み消し、聖職はく奪もしなかった一方、成人同士で合意のもとに結婚している同性愛者の採用を取り消すのはおかしいという意味ですよ、念のため。