石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

プロレスラーのマイク・パロウがゲイとしてカミングアウト

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2016-06-14_20-03-47_ILCE-6300_DSC08367 / miguel_discart_photos

米国のプロレスラー、マイク・パロウ(Mike Parrow, 34)が同性愛者であることを公表しました。

詳細は以下。

Pro-wrestler comes out as gay after finding love – read his inspiring story

マイク・パロウは米国フロリダ州を拠点に活躍しているレスラーで、身長193cm体重136kg。写真は以下を。

パロウは警察官を父に、日曜学校の教師を母に持ち、子供時代はずっとカトリックの学校に通っていた人。生まれ育った小さな町にはゲイコミュニティらしきゲイコミュニティはなく、彼が目にした「ゲイ」はテレビの中の女っぽいタイプのキャラクターだけだったそうです。「自分は『ウィル&グレイス』のジャックみたいじゃないからゲイじゃない」と彼は思っていたとのこと。さらには、フットボールなど「男らしい」ことをしたり、女性と付き合ったりすれば性的指向が変えられると考えたとか。もちろん、変えられはしなかったんですが。

その後20代後半で意を決して足を踏み入れたゲイの世界で容姿をあげつらわれたり「隠れホモ(closet case)」と罵られたりした彼は、「ゲイ男性というのは一生のうちに出会う中でもっとも意地悪で残酷な人たちであり得る」と学び、レスリングに専念することに。それでも、性的指向がばれたらせっかく築き上げたキャリアが台無しになるのではという恐怖が拭えず、気持ちは塞ぐ一方だったそうです。それで自殺未遂もし、コンバージョン・セラピー(同性愛者を異性愛者に変えるという『治療』。科学的エビデンスはありません)も受け、精神科も受診したとのこと。精神科医から同性愛は治せるものではないと言われても「治したいんだ」と答えていたという彼ですが、ここに至ってあることが起こります。

「それから、奇妙なことが起こりました。フィアンセに出会ったんです」


‘And so, a weird thing happened. I met my fiancé.’

フィアンセのモーガン(Morgan)さんとマイク・パロウが一緒に写っている写真はこちらです。

I'm thankful every day for all that I have.

Morgan Coleさん(@love_the_tentacle)がシェアした投稿 -

モーガンさんとの出会いで生まれて初めて完全に恋に落ちたマイク・パロウは、ついに周囲の人にカミングアウトし始めます。今回公的なカミングアウトにまで踏み切ったのは、フロリダ州オーランドーのゲイ・ナイトクラブ「パルス」での乱射事件の影響が大きいとのこと。あの事件の犠牲者の中には、彼がカミングアウトしたときに助けてくれた人がたくさんいて、その人たちは生前マイクに対して「怖がっていないで人を助けろ」と言っていたんだそうです。中でもある女性からは、テレビに映るゲイがステレオタイプばかりなせいで若い子が自殺を考えてしまう、あなたが(ゲイのアスリートとしてカミングアウトすることで)14や15の子供たちを救えるかもしれないんだよと言われていたとのこと。

「これが、わたしが49(訳注:パルスで亡くなった人数)という数字を身につけている理由です。彼らをたたえ、本当の自分自身でいるためなんです。人々に話さなければいけないのだと思い出すためなんです。人は本当に理解する必要があるんです、みんなが同じだというわけではないということを。どんな人にも人生の旅路があり、前進を続けなければならないのだということを」

‘That’s why I wear the 49. To honor them and be myself. To remind me that you do need to tell people. They do need to understand that not everybody’s the same, that everybody has a journey: You need to keep going forward.’

彼のカミングアウトで救われる子供は、きっといると思います。ロールモデルって本当に大事ですからね。

日本ではよく、ゲイの可視化に関して「オネエタレントがたくさんテレビに出ている日本は素晴らしい」てなことを言う人がいますが、いち同性愛者の目から見てそれはちょっと違うと思うんですよ。オネエタレントの方々がどれだけたくさんいようと、また大人気だろうと、目に映るメジャーな「ゲイ」像がそればかりだというのは大問題です。実際、「ゲイ=面白おかしいオネエ」というステレオタイプのせいで、フェミニンなタイプではないゲイの男の子が「ゲイとして生きていくにはああいう風にならないといけないんだ」と悩んだり、「自分が何者なのかわからない」と困ってしまったりしたって話はここ日本でもけっこう耳にします。こんなことで人生を遠回りさせられるのは本当にアホらしいので、マイク・パロウの決断には拍手を送りたいです。