石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『宵闇Doll's Party』(織倉まこと、久保書店)感想

宵闇Doll’s Party (ワールドコミックス・ワンダ)宵闇Doll’s Party (ワールドコミックス・ワンダ)
織倉 まこと

久保書店 2004-04
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エロに特化した吸血鬼ものレズビアン漫画。ストーリーは中途半端。

美少女吸血鬼レイチェルとそのメイド、そして彼女らを助けるシスターなどが痴態を繰り広げる18禁エロ漫画。同作者さんの、漫画というよりエロイラスト集に近い『みこれっと』に比べればまだストーリーらしいストーリーがあるのですが、構成に難があるため非常に読みづらかったです。肝心の絡みも「実は妄想でした(実際にはやってない)」というオチが多すぎる点が今ひとつ。微妙に同性愛嫌悪の香りがするところもマイナス。ただし絵は綺麗ですし、「男なし・器具なし・ふたなりなし」という3点は最後まで堅固に守られています。

ストーリーについて

レイチェルが人間界を支配しようと奮闘する「MOONLIGHT PARTY」と、そのパラレル現代物と思われる女子校漫画「特別編1〜4」が行ったり来たりするので、頭がついていかなくて何が何やら。おまけに何かのミスなのか、特別編1は扉絵にその表記がなく、「なんでファンタジーからいきなり女子校物に?」と頭が混乱しまくりました。

個々のエピソードも非常にわかりづらいです。背景が貧弱(真っ白か、トーンか、木々がちょこっと描いてあるぐらい)で「どこで何が行われているのか」が不明瞭な上に、構成に難がありすぎて、キャラの妄想と実際に起こったことの区別がつきにくいと思います。また、個々のエピソードは尻切れトンボなものが多く、起承転結自体が存在しません。

絡みと同性愛嫌悪について

絡みのシークエンスは「これで非18禁?」と驚くほど多いです。しかも、徹底して「男なし・器具なし・ふたなりなし」の3点セット。絵も綺麗なので、「ストーリーなどいらん! 絡み絵さえ豊富であればOK!」な方にとっては非常にコストパフォーマンスが高い作品かも。

ただし、その絡みが実は妄想だったというオチがやたらと多いのと、「女の子同士でこんなこと変」だの「そんな趣味はない」だのという同性愛嫌悪チックな台詞が連発されるところはどうかと思います。そんなに女同士の関係に抵抗があるんなら、男とやってりゃいいじゃん?

まとめ

あくまでオカズ向けの作品ですな。一応ストーリーらしきものがあるという点では『みこれっと』より電波度が低いのですが、一方で同性愛嫌悪がちらりと混じってしまっているところはマイナス。純粋に絵とエロ要素だけを目当てに読むべき一冊だと思います。