石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

PCゲーム『光臨天使エンシェル・レナ』(Triangle)レビュー

光臨天使エンシェル・レナ光臨天使エンシェル・レナ

トライアングル 2005-05-27
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触手/陵辱/3P/ふたなり主体の変身ヒロイン物

変身ヒロイン物のエロゲです。女のコ同士の絡みはまあまあ多いのですが、これを「レズゲー」と呼ぶにはやや無理があるかも。これはどちらかと言うと触手/陵辱/3P/ふたなりが主体なゲームであって、純粋に女のコ同士でセックスしているシーンはきわめて少ないです。冗長な説明台詞が多すぎて、お話のテンポが極端に悪いのもバツ。ガチな人がひとりだけいるので、それだけを目当てにプレイするという手はありますが、努力のわりに報われることは少ないと思います。

ふたなり多め、同性同士の愛は少なめ

全部で49種類のHシーン中、女性同士の(男性が介入しない)絡みは12シーン。と言うと一見多そうですが、実はそのうち6シーンがふたなりです。今にも『ULTRA SWORD』の雪が「ふたなりは……邪道!!」と叫びながら乱入してきそうなふたなり率の高さです。さらに、残る6シーンのうち5つは「敵を辱めるため」「魔力補充の苦痛を和らげるため」などの名目で行われていて、本当に好き合っている女のコ同士のセックスはたった1つだけ。

つまりこれは、どちらかというと「異性愛者による『レズプレイ』はあっても、同性同士の『愛』はきわめて少ない」というゲームなわけです。レズゲー要素を求めて『エンシェル・レナ』をプレイするのは、喉が渇いた砂漠の旅人がヤクルトを1本だけ発見して飲むようなものでありましょう。足りません、圧倒的に。

このゲームの本質=「乙女になって陵辱されたいおっさんのためのゲーム」

ではこのゲームの本質は何かというと、「可愛い女のコになって陵辱されたいおっさんのためのゲーム」だとあたしは思いました。理由はふたつ。

1. 女のコキャラの口調がネカマ臭い

それも、PS2ゲーム『ストロベリー・パニック!』とはまた違うネカマ臭さです。ストパニ(ゲーム版)のそれが「萌え漫画で学習した『間違った女言葉』」だとしたら、『エンシェル・レナ』の方は「スポーツ新聞のエロ小説で学習した『間違った女言葉』」です。どちらも生身の女のコの口調と激しく違うという点は同じですが、後者の方がより年齢層が高いネカマの口調だと思いました。事実、『エンシェル~』では、「身体がジュンってしちゃう」なんていう川上宗薫の劣化コピーみたいな表現も使われてましたし(それともあれはギャグですか?)。

2. 男性嫌悪が強い

男性の描写に「アンモニア臭がする」とか「生臭い」とか「おぞましい」とか、ネガティブなことばが多用されまくってるんですよ。逆にレナはやたらと自分のことを「清らかな乙女」と称してるんですね(それも、たいへんネカマ臭い口調で)。そのへんに男性の男性嫌悪と女体化願望が垣間見えるような気がします。

レズゲー要素を抜きにしても、完成度は低い

くどい説明台詞

説明台詞が多すぎます。全部の会話のうち3分の2ぐらい(体感)はキャラクタがまるで「邪気眼」「エターナルフォースブリザード」みたいな厨設定をくどくど説明しているだけで、少しもお話がダイナミックに動き出しません。「エンシェリウムカードは、実体を持たない、あるいは実空間では発言しない力を臨界状態のまま固定・物質化し…」とか、設定資料集を読み上げてるだけの台詞なんて心の底からどうでもええっちゅーねん。

だいたい、「久々に会った宿敵同士の会話↓」なんかを見ても、超説明臭いんですよ。

ステラ「…久しぶりね。帝国特務機関”ディミトレイ”、第七種諜報猟兵店ピエナ・メルキュール少尉…」

ピエナ「…あなたもお元気そうで…王立魔導開発院、主任呪文理論魔道士店及び一級召還士…ステラ・イクシータ…」

なにそのお役所の名刺みてーなクソ長い肩書き。いちいちそれを全部唱えながら会話するって、ばか?

耳障りな音楽

失敗したガムラン音楽みたいな妙なBGMは、少しもゲームを盛り上げる役に立っていません。おまけに音質が薄っぺらくて、シャカシャカと耳障りです。

ただし、絵はいいと思う。

絵だけは可愛いし、よくできていると思いました。CGも豊富なので、絵を目当てに買うという買い方はあるかもしれません。

まとめ

前述の通りレズゲー要素は極めて少ないため、レズゲーマーよりも、触手/陵辱/3P/ふたなり属性や女体化願望のある男性ゲーマー向けの作品だと思います。だとしても、キャラたちの「おっさんのネカマ」っぽい口調や冗長な説明台詞に耐える覚悟は要りますが。「とにかく女のコ同士が絡んでいるCGさえあればいい」という方と絵柄がよほど好みな方以外、おすすめしません。