石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『La femme』(東雲太郎、ヒット出版社)感想

La femme (セラフィンコミックス)La femme (セラフィンコミックス)
東雲 太郎

ヒット出版社 2007-05-24
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絵柄は古く、しかもふたなり主体。でも格闘美少女がすごくいい

『半熟短髪娘』(ヒット出版社)の東雲太郎(いや、『キミキス』(エンターブレイン)の東雲太郎と言った方が通りがいいかな?)の、初単行本の新装版。18禁エロ漫画で、ほとんどが女のコ同士のお話です。絵柄が今よりずいぶん古い上、レズビアン物よりふたなり物が多いのですが、闘う少女のかっこよさや美しさは白眉。何を求めるかによって評価が変わってくる一冊だと思います。

絵柄について

旧版は1998発行で、この版でも新しいのは表紙だけ。中の絵はかなり古くて荒削りなので、最近の作品から入った方は注意されたし。『半熟~』から入ったあたしは全然オッケーでしたけど。

ふたなり主体

11本中7本が女のコ同士のお話(性的な意味で)なのはすごく嬉しいのですが、セックスシーンは「ほぼ全てふたなり、ごくまれに器具またはチンコ風の触手使用」といった按配なので、指と舌派の皆様には少々物足りないかと思います。逆に言えば、ふたなり好きにとってはまさにパラダイスかも。

個人的には、収録作ではふたなり物よりいっそエロ無し恋愛短編の「スパークル」の方が好きだなあと思いました。ゲーセンを舞台とした、美人ゲーマーの女教師と教え子美少女のラブ物というちょっと変わったコメディなんですが、ギャグあり愛ありアクションありでとても楽しめました。見つめ合うふたりの視線も色っぽくてナイス。

格闘シーンについて

これは『半熟短髪娘』もそうなんですが、女のコ同士の格闘シーンがやたらとかっこいいです。たとえば「Treasure」の戦闘シーンなんて、蹴りもパンチもスピード感と美しさにあふれていてとてもいい感じ。「細くて女らしい体つきでも、ちゃんと骨も筋肉もある」という肉体描写なんですよね。冒頭に書いたように、絵柄自体はやや古くて荒削りなのですが、それでも「さっさと成仏しなよね!」の大ゴマなど、かっこよすぎてしばし見とれました。

まとめ

百合/レズビアン物というより、やはりこれは全体としては「ふたなり物」に近いかと(そりゃ、生えてない女のコ同士のお話もありますがー)。絵の古さやふたなり率の高さが気にならない人で、格闘少女好きな人なら買い、な1冊だと思います。