石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『Video Letter』(木村屋いづみ、三和出版)感想

Video Letter (SANWA COMICS No. 81)Video Letter (SANWA COMICS No. 81)
木村屋 いづみ

三和出版 2006-05-31
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男性が「物」としてのみ介在する18禁レズビアンエロ漫画

こりゃ、ユニークだわ。全編女女エロと男女エロにまみれた汁だくさんなお話なんですが、実は男性キャラは単なるペニスとしてしか存在し得ず(※ほとんど顔すら描かれてません)、お話のウエイトは一貫して少女(同士)の愛と官能にあります。同作者さんの「彼女2分のイチ」シリーズ(『少女風景―スカートの中の欲望―』に収録)を、さらに大きくレズビアンもの寄りに振った感じの1冊ですね。ここまで男性が疎外された話で男性読者は大丈夫なのか、とある意味心配になってしまうほどの、思いきった作風だと感じました。

収録作「Video Letter」について

美少女「麻衣」が、自らの自慰やセックス等が映ったビデオを利用してさまざまな女のコたちを誘惑していくお話です。彼女に絡めとられていくのは主人公のメガネ美少女「優奈」、ツンデレ委員長「しおり」、優奈の妹「唯美花」など。調教の過程では男女セックスもこれでもかというほど利用されるのですが、前述のように、男性キャラはほとんど性器しか登場しません。少しだけ画面に映る手足も毛むくじゃらの決して美しくはないものとして描かれ、

汚い手で優奈の胸触らないで アンタはち○ぽだけ出してりゃいいのよ

という冷ややかな台詞(p43)まで飛び出す始末。男女セックスそのものも、結局は

優奈のおま○こに入ってたおチンチンがわたしのおま○こにィッ!!

という文脈(p26)でのみ消費されており、結局この漫画における「男性」の役割は、女のコ同士の愛と絆を深めるためのディルドまたは興奮剤でしかないのですね。ちなみに女女エロのシーンも男女エロに劣らずたくさん(初々しいキスからかなり激しいことまでいろいろ)出てきますが、こちらでは少女同士の愛情なり愛着なりがしっかりと描き込まれています。この落差の強烈さはすごいです。

収録作「いたずらな妹」「いたずらな妹II」について

少女同士の絡みは存在するものの、こちらはどちらかと言うとヘテロ漫画(もっと言ってしまうと兄妹インセストもの)。ただし、全体の3分の2がヘテロセックスであるにも関わらず、やっぱり男性キャラの顔はほとんど描かれていません。男性は手とペニスだけの存在であり、内面に焦点が当てられるのは常に少女のみ。「Video Letter」もそうですが、「男性の興奮や快感よりも、とにかく少女の可愛らしさと官能を描く」ことに狙いが絞られた作品だと思います。

まとめ

少女の可愛らしさをしっかりと描きつつ、男性を徹底して「物」扱いするという、非常に思いきったつくりのエロ漫画だと思います。キャラが男性とセックスするシーンを一律に嫌う百合好きさんは多いと思いますが、個人的には「Video Letter」のような描き方であれば余裕でレズビアン漫画(あるいは百合漫画)と呼べると思いました。少女同士の愛も絆もちゃんと存在しますしね。つか、これはひょっとしたら「物扱いされて美少女同士の百合関係の踏み台にされたい」というニッチな属性の方をターゲットにした作品なのかも、と思わんでもないのですが、真相はどうなんでしょう?