石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

PCゲーム『ラストソング』(berkana)レビュー

ラストソングラストソング

berkana 2005-12-09
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by G-Tools

レズゲーとしてもヘテロゲーとしても中途半端

レズゲーと呼ぶには愛が薄く、ヘテロゲーとしても山場が少なすぎ、かと言ってバンド物や青春物としても決して出来がいいわけではない、という、なんとも中途半端なゲームです。女のコ同士の絡みそのものはわりあいたくさんあるのですが、愛情面にはあまり期待しない方がいいかと。

レズゲーとしての『ラストソング』

1. セックスというより「なりゆきの相互オナニー」

4人のヒロインがバンドを結成して卒業式でのライブ公演を目指す、というストーリー自体は悪くないのですが、4人のうち3人までが男性キャラ「柴村孝之助」に惚れているという安直なハーレム設定が致命的。案の定、ゲーム本編に登場する女のコ同士の絡みは「好きな男と結ばれなかった同士がヤケクソで関係を持ってしまう」とか、「なんとなく好奇心で触り合う」とか、「酔った勢いで押し倒す」とか、そんなのばっかりです。行為自体も尺が短い上に、途中で中断されてしまう尻切れトンボパターンがほとんど。たまにオーガズムまで達したところで、その直後には

後には、冷めた身体と心だけがある。お互いに、無言だった。

なんて、虚しいことをしちゃったんだろう。

なんて描写が続いていたりして、ぜんぜんラブくありません。つまり、このゲームで描かれる女のコ同士の行為はセックスというより単なる「なりゆきの相互オナニー」であり、あふれる恋情とか好きな人と触れ合う幸福感といったものはほとんどないんですね。唯一、法子の美佐枝に対する感情には少しだけ愛に近いものが垣間見えるのですが、それも結局たいした進展は見せません。そのあたりが、非常に物足りなかったです。

2. 女性キャラの発想がまるで童貞男

エロゲにはありがちなことですが、女性キャラがどう考えても女性とは思えない発言をしているのも痛いところ。「処女膜の有無を確認する」とか言って親友の下半身を脱がせておいて、「クリトリスが邪魔で影になって見えない」って、どんなクリトリスですかいったい。膣の中にでも生えてるんですか。ここまで女性の身体の構造を知らない女性キャラって、無理がありすぎると思うんですが。

3. オマケのHシーンについて

ある条件を満たしてクリアすると、エピローグとして女性キャラ同士のHシーン(計3種)が回想シーンに追加されます。本編内のHシーンより尺も長いし、そこそこエロ度も高いのですが、

「あの、あのね……断っとくけど、あたし、別にそっちの気は……ないから……」

なんて台詞がしっかり用意されていたり、かと思うと好きだ好きだと連呼したあげく「高熱のせいでした。もう何も覚えてません」というオチだったりで、愛情面にはまったく期待できません。要するに、どこまでいっても「キャラやユーザがホモセクシュアル・パニックに陥らないよう、『これはレズじゃない』『好きなんかじゃない』という言い訳を入念に散りばめた上で女のコ同士を絡ませてみました」というスタンスの作品なわけです。

ヘテロゲーとしての『ラストソング』

分岐ゼロの一本道シナリオなのはまだいいとしても、お話に起伏がなさすぎ。孝之助が異様に無個性な上、展開があまりにご都合主義的なので、「こんなんでセックスまでしちゃうの?」と違和感を覚えました。話が無意味に長いわりにエロシーンが2回しかなく、どちらもたいしてエロくもラブくもないところもマイナスポイント。

青春物/バンド物としての『ラストソング』

これもやっぱり物足りないです。たいした挫折も失敗もなく、「練習を重ねてうまくなりました、めでたしめでたし」と終わるだけというのは、物語としてあまりに薄味すぎです。

まとめ

あらゆる面で中途半端さが目立つゲームでした。女のコ同士の絡みそのものはそこそこエロい(ものもある)ので、それを目当てに買うという手はありますが、レズゲーとしては(いや、ヘテロゲーとしても)あまり多くを期待しないのが吉かと。分岐を作ってラブラブレズエンドのひとつも入れてくれたらよかったのに、と思います。