石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

アイルランド反同性婚ポスターに使われたストックフォトのモデルが仰天&反論

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2015年5月22日に同性婚の是非を問う国民投票が予定されているアイルランドで、同じ家族をモデルとしたストックフォトが同性婚反対派と賛成派の両方のポスターに使われるという珍事が起こりました。モデル一家は同性婚に賛成すると表明しています。

詳細は以下。

A Couple In An Irish Poster Against Same-Sex Marriage Say They Actually Support It - BuzzFeed News

ことの起こりは、同国の「Mothers and Fathers Matter」(直訳すると『父母は大切』)なるアンチ同性婚団体が作ったこんなポスターでした。

ポスターの文句を日本語にすると、「子供たちには父母が与えられるべき」「(同性婚に)ノーと投票を」。

これを見て驚いたのが、このストックフォトのモデルの実在カップル。彼らは5月7日、アムネスティ・インターナショナルを通じて以下のような声明を発表しました。

この写真が、わたしたちが賛成しないキャンペーンの一部として使われているのを見て驚き、動揺しました。わたしたちは同性婚にまったく賛成です。同性カップルが養子を迎えることができて当然だと思います、というのは、彼らは子供たちが切望している愛情と思いやりを等しく与えることができると思うからです。そうでないかのように示唆するのは、わたしたちにとっても、他の多くの人たちにとっても不快です。

We were surprised and upset to see that the photo was being used as part of a campaign with which we do not agree. We completely support same-sex marriage, and we believe that same-sex couples’ should of course be able to adopt, as we believe that they are equally able to provide children with much-needed love and care. To suggest otherwise is offensive to us, and to many others.

この21世紀に、セクシュアリティにもとづく差別の居場所はありません。

Discrimination on the grounds of sexuality has no place in the 21st century.

一方、アイルランド人デザイナーのジェイムズ・ラーキン(James Larkin)氏は、「Mothers and Fathers Matter」のポスターを見てショックを受け、同じモデルのストックフォトでこんな風に作り直したポスターを発表していました。

訳すと「子供たちには平等が与えられるべき」「(同性婚に)イエスと投票を」。

TECHNOLOGY.IEによれば、ラーキン氏がモデル一家の声明を知ったのは、このポスターを作った後だったとのこと。この家族の見解が自分のポスターと一致するものだとわかってうれしいと彼は語っているそうです。

「アンチゲイ団体がキャンペーンに使ったストックフォトのモデルが反意を表明する&同じモデルの写真がゲイ支援キャンペーンに使われる」というできごとは、先日米国でもありましたよね。くわしくは以下を。

ストックフォトの使用料を払ったからと言って、「モデルとなった人物の意見表明を阻止する権利」まで買うことはできません。差別に反対する人が増えるにつれ、こうしたケースはどんどん増えていくんじゃないでしょうか。

だいたい今回の「Mothers and Fathers Matter」のポスター、異性愛者のひとり親家庭も侮辱してるし、いろんな意味で大失敗だったんでは……と思ってちょっと調べたところ、この団体、過去にユニセフのデータを曲解して「ひとり親家庭の子供は人格障害が多い」と主張したりもしているようです。とことん「父母がそろっていること」だけが大事で、それ以外は差別したいようですね。5月22日の国民投票で、こうしたbigotのみなさんが少しは考えを変えてくれるといいんだけど。