石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

隠しカメラが就職面接でのゲイ差別をあばく(動画)

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スウェーデンの倉庫で働いていた男性が、ゲイであることを理由に解雇されました。これを知ったとあるYouTubeチャンネルが、この会社の採用面接にふたりの男性を応募させ、隠しカメラで面接官とのやりとりを録画。職場でのゲイ差別の実態を暴きました。

詳細は以下。

Shocking video reveals what happens when job seeker reveals the fact he’s gay at interview | Gay Star News

まずは動画をごらんください。英語字幕がついているので、とてもわかりやすいです。

面接におもむいたのは、YouTubeチャンネル「STHLM Panda」のオーレ(Olle)さんとコンラッド(Konrad)さん。ふたりはまず、以下の設定に沿って面接官と話を進めていきます。

  • コンラッドさん
    • 働いた経験はあまりなく、ここしばらく無職だった
    • 家にいることが多い。家ではサッカーのゲームをしている
    • トラックの免許は持っていないが、なんとかなると思っている
  • オーレさん
    • 同業種で3年間の経験がある
    • 活動的な性格で、よくジムに行く
    • 車が好きで、仕事でも車を使っていた
    • 前の職場でトラックに乗っていた

面接官はあきらかにオーレさんの方を気に入り、「いつから働ける?」と大乗り気で質問します。コンラッドさんの方は「帰り道はわかりますか」と言われて早々に帰されてしまったのに、です。そこでオーレさんがこう発言します。

「できる限り早く働きたいんです。前職と同じぐらいの給料をいただけたらと思っています。でも絶対というわけではありません。ぼくはボーイフレンドと新しいアパートメントに引っ越したばかりで……」

面接官は即座に「今何と?」と聞き返します。

「ぼくらはアパートメントを買ったんです」

面接官は「フン」と盛大に鼻を鳴らし、いきなりこんなことを言い出します。

「この仕事の応募者はたくさんいてね。きみがそう知ってるとよかったね。それじゃ、ありがとう」

そこで彼は有無を言わせず立ち上がり、オーレさんに背を向けます。さらに、「こちらこそありがとうございます」と握手を求めるオーレさんをガン無視。「ドアはこっちだよ」とわざわざ自分でドアを開け、出て行くよう促します。

あたしはスウェーデン語はまったくわかりませんが、面接官の「フン」と鼻を鳴らして以降(1:45~)の口調とボディーランゲージがどれだけ失礼きわまりないかは手にとるようにわかりました。2015年の、しかもスウェーデンでこれかよ!!!!!!!!

笑えるのはその後、とうに面接を終えていたコンラッドさんに採用を告げる電話がかかってきたこと。コンラッドさんが再び隠しカメラ持参で事務所に赴き、「応募者はたくさんいたのでは」と質問すると、「2、3人だよ。きみがベストだった」との返事。おいおい、「たくさん」じゃなかったのか。コンラッドさんは雇用契約書をビリビリに引き裂き、事務所を出ます。

この動画がYouTubeにアップロードされたのが2015年8月4日。8月11日現在、視聴回数は70万回を超えています。STHLM Pandaのコンラッドさんによると、くだんの面接担当者は動画を観た後、STHLM Pandaまで謝罪のメールをよこしたとのこと。メールには、解雇した元社員にも謝罪して再び雇ったと書いてあったそうです。

スウェーデンでは職場での性的指向にもとづく差別は法律で禁止されているし、同性婚もできるし、同性カップルが養子をとる権利も認められているしで、ゲイの権利に関してはかなり先進的な国だったはず。「世界のゲイフレンドリーな国ランキング」みたいな企画でもたびたび上位に食い込んでいて、実際World Value Studyの調査(2005-2008)では、「ゲイの隣人に対し何ら異存がない」とした人が世界一多い(96.4%)国だったはず。それでもなおこんなものなのかと目の前が暗くなりますが、逆に「こちらが同性愛者だと知ったとたんのあの手のひら返し、万国共通だよなー」とも思います。日本でだって、ホモフォビックな人ってあの通りよ。したがって、

  • スウェーデンはあんなに法整備がされている。しかし、ホモフォビアがある

というのではなくて、

  • 世界中どこだろうとホモフォビアはなくならない。だから、「差別すると怒られる」よう法整備する必要があり、スウェーデンはその点進んでいる

ととらえた方が正確なんじゃないかという気もします。今は小型で高性能なカメラがたくさんあるから、こういうすっぱ抜きがどんどん増えていくといいんじゃないでしょうか。「差別などない」「法整備は不要」とかなんとか言い張る人たちに目をさましてもらうためにも、ね。