石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

「ほとんど異性愛者」の人はLGBと同じぐらいいじめや虐待を受けやすい(カナダ研究)

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トロント大学の研究者たちが、「ほとんど異性愛者」という自己認識の人は「(完全に)異性愛者」という自己認識の人よりも子供時代にいじめや虐待に遭う率が高く、逆境的小児期体験を示すスコアがLGBの人たちと同程度だったとする研究結果を発表しました。

詳細は以下。

PLOS ONE: Comparing the Rates of Early Childhood Victimization across Sexual Orientations: Heterosexual, Lesbian, Gay, Bisexual, and Mostly Heterosexual

この研究は同大学のChristopher Zou氏らによるもので、性的指向が「ほとんど異性愛者」の人122人と、異性愛者422人、LGBつまりレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル562人について調査しています。彼らに子供時代に大人から受けた虐待(身体的/精神的/性的虐待、ネグレクト、機能不全家庭など)および同世代から受けたいじめ(ことばによるいじめ、身体的ないじめなど)に関するアンケートを受けてもらったところ、「ほとんど異性愛者」のグループは、ACEスコア(虐待などの逆境的小児期体験を示すスコア)が異性愛者より47%高かったのこと。これはLGBと変わらない数値で、ここから「ほとんど異性愛者」の人もまた性的マイノリティーであることがわかるとZou氏らは主張しています。

論文では、このような結果が生じる理由まで分析するのは「この研究で扱う範囲を超えている」と述べられています。可能性として考えられるのは、幼児期や青年期後期には性役割や社会的なふるまいが特に重視されがちなため、ジェンダー規範や社会的規範に逆らうことは親や仲間からの「取り締まり」や「制裁」のターゲットとなりやすく、それがこうした結果につながっているのではないかということだそうです。

この論文を読んでいて思い出したんですが、最近英国でおこなわれた調査で、同国の19歳から24歳までの若者の49パーセントが、自分は「100%ストレートではない」と回答してましたよね。より正確に言うと、自分の性的指向をゼロ(完全に異性愛者)から6(完全に同性愛者)までの7段階のどこにあるか答えてもらうという調査で、1から5を選んだ人が49%もいたわけ。ゼロ、つまり完全に異性愛者だと答えた人は46%にすぎず、もはや過半数でさえなかったんです。

ということは「ほとんど異性愛者」の範疇に入る人って、実はかなり多いんじゃないでしょうか。今回のカナダの研究でもそのことは指摘されており、「ほとんど異性愛者」の人たちは「性的マイノリティーの中でもっとも大きなグループ」だとされています。そのもっとも大きなグループでさえ、LGBと同程度のいじめ・虐待リスクにさらされているとは、「100%異性愛者でなければならない(さもなくば制裁を与えるぞー)」という圧力って、いったいどれだけ大きいんでしょうか。これ以上子供が苦しむところは見たくないわ。早いとこなくそうぜ、この圧力。