石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

中国の小学生向け性教育テキストがイラストで同性愛など説明 賛否両論

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中国で出版された、小学生向けの性教育の教科書が進歩的だと話題になっています。ジェンダーの平等や、異性愛以外の性的指向、妊娠、性感染症、性虐待などについてイラストを使ってわかりやすく解説していくというシリーズで、反応は賛否両論ある模様。

詳細は以下。

China introduces surprisingly progressive sex education curriculum for kids, some parents freak out: Shanghaiist

この一連の教科書は北京師範大学出版集団が出したもので、対象年齢は6~13歳。表紙や中身はこんな感じです。

Shanghaiistにはもっとたくさんのページが紹介されていますので、よろしければそちらもぜひ。

この教科書では2年生でジェンダーの平等について学ぶことになっているのだそうで、女性も男性もジェンダー・ステレオタイプにあてはまらない職業に就いていいのだということがかわいらしい絵を使って説明されています。他には、陰茎や子宮などのイラストを通じて妊娠のしくみを学ぶページや、「おじさんが新しい服を着せてあげるから服を脱いでと言ってきた」のような具体的な状況を想定した上で、性被害から身を守る方法について勉強するページもあるとのこと。

4年生の学習範囲には、人間には異性に惹かれる人もいれば同性に惹かれる人もいて、どちらもまったく問題ないのだとする記述が含められています。5年生では性感染症やコンドームについての説明があり、異性愛者も両性愛者も性交時にコンドームを使うことが大切だと強調されています。6年生になると両性愛の概念が登場し、教室で子供たちが「バイセクシュアルとしてカムアウトしたセレブの話、聞いた?」などと会話する場面も。さらに結婚に関するページでは、結婚しないという選択も尊重されるべきであること、また結婚は異性同士のものだけではなく、同性カップルにも生殖の権利があることなどが、すべてカラフルなイラストを使って説明されています。

なにこの画期的な教科書。

一方その頃日本では、学習指導要領の改定に向けて「思春期になると、だれでも異性に関心を持つ」という教科書の記述をやめてほしいと求めるキャンペーンが繰り広げられたにもかかわらず、新たに発表された改定案には性的少数者が教室にいることを想定した記述はまったくなかったということがありましてね。文科省に寄せられたパブリックコメントの実に約12%(368件)が多様な性について言及していたのに、スポーツ庁の担当者の見解は「LGBTについて小中学校でうかつに教えると、(当事者の生徒が)いじめにあう恐れがある」というものだったらしいですよ。詳しくは以下を。

嘆かわしいぞ、日本!!

とはいえ中国でもすべての人がこの新しいカリキュラムに賛成しているわけではないらしく、CNNによれば、中国のSNS、微博(ウェイボー)ではこの教科書をポルノ漫画になぞらえたり、子供がイラストで描かれていることを真似するとして非難したりする向きもあるのだそうです。Shanghaiistでは、この性教育テキストには「見るだけで顔が赤くなる」、「男女のセックスの絵は絶対に不適切」などの批判もある一方、医師による「中絶の広告がそこら中で見られる今、大人がこの教科書をやりすぎだと言うのは、彼ら自身の受けた性教育が大きな間違いだったということだ」という発言が大きな注目を集めてもいると報じられています。なお、これまでの中国での性教育がどうだったかというと、2014年に同国の大学生たちが大学でのよりよい性教育を求めてデモを実施したときの、こちらの意見がわかりやすいかも。

「わたし自身の受けた性教育は、実質ゼロでした」と、ダダと名乗るデモ参加者はiCrossChinaに語った。

“My own sex education was practically nothing,” one protestor at the scene, identified as Dada, told iCrossChina.

西安外事学院からの唯一の男性参加者は以下のように言ったと伝えられている。「中国ではほとんどの男性がAVから性知識を得ていますが、AVには性的関係についての誤解につながるような、チェックを受けていない情報が含まれています」「ジェンダーの間の溝に橋を架けることで、誤解をなくすことができます」

“In China, most men pick up sex knowledge from adult videos, but these contain unfiltered information leading to misunderstandings about relationships,” Lu Peiwen, the only male demonstrator from Xi’an International University, was quoted as saying. “Bridging the gap between genders can remove those misunderstandings.”

性教育が不足していてAVが情報源になっているという状況は、なんだか日本にも相通じるものがありますが、この分だと今後そこからの巻き返しに大きく差がついていくかもしれませんね。なお、中国国内の複数のLGBT団体は、もちろんこの新しい教科書に拍手を贈っているとのことです。目下のところこのカリキュラムは少数の学校でしか採用されていないのだそうですが、今後もっと多くの子供たちがこの教科書で勉強できるようになることを願ってやみません。