石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

トランプ米大統領がトランスジェンダーの人々の軍入隊禁止を発表。各方面から批判噴出

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トランプ米大統領が2017年7月26日、トランスジェンダーの人々が米軍で働くことを一切禁止するとTwitterで発表。「多額の医療費と混乱」が軍の負担になるというのがその理由ですが、これに対し各方面から強い批判が巻き起こっています。

まず、トランプによる発表については以下の日本語の報道をご覧ください。

以下、この発表に対する反響や批判など。

1. 米国防省はトランスの医療費の5倍の金額をバイアグラに使っている

The Pentagon spends 5x more on Viagra than it would on trans medical costs · PinkNews

上記によれば性別適合手術などトランスジェンダーの人々の医療にかかるコストは約840万ドル。一方、国防省が2014年にバイアグラに費やした金額はその約5倍(4160万ドル)。

2. 米国人の過半数がトランスジェンダーの人々の入隊に賛成

Exclusive: Majority of Americans support transgender military service - poll

ロイターとイプソスが7月26~28日に実施した世論調査によれば、民主党支持者では83%、共和党支持者では32%、全体では58%がトランスジェンダーの入隊に賛成。反対派は全体の27%にすぎなかったとのこと。

3. トランスジェンダーの軍人や退役軍人の反応

元米陸軍情報分析官のチェルシー・マニングさんのInstagram:

figured i would show my face 😇 at the new ground zero of the war on trans people you see, #WeGotThis 😎

Chelsea E. Manningさん(@xychelsea87)がシェアした投稿 -


(訳:『「トランスの人々の戦いの新たなる爆心地に顔を出そうと思いました』。『爆心地』とは、トランプの発表に対するホワイトハウス前での抗議集会のこと)

ネイビー・シールズでの20年間の軍務経験を持ち、青銅星賞やパープルハート勲章などを授与されているクリスティン・ベック(Kristin Beck)さんの意見

「わたしと直接会って、おまえは無価値だと言ってみればいい」

"Let's meet face to face and you tell me I'm not worthy,"

「トランスの人々が、国内でも世界中の国々でも、何の問題もなくりっぱに軍務を果たせるということはもうわかっています」

"Trans people have proven to serve well and without any issues, both in our country and several throughout the world."

元海軍で、1978年にトランスジェンダーの旗をデザインしたモニカ・ヘルムズ(Monica Helms)さんの意見

「トランプがしたことは、偏見に固まったトランプ支持者を満足させる以外には何の役にも立ちません」

"What Trump did was strictly to serve his bigot followers and nothing else,"

アフガニスタン勤務の空軍軍人ローガン・アイルランド(Logan Ireland)さんの意見

「追い出せるものなら追い出してみろ」

“I would like to see them try to kick me out of my military.

「じゅうぶんな適性を持っていて、能力があり、命をなげうつ用意ができているわたしが国に奉仕する権利を、否定するつもりか」

“You are not going to deny me my right to serve my country when I am fully qualified and able and willing to give my life,”

ルイジアナのバークスデイル空軍基地勤務のスターリング・ジェイムズ・クラッチャー(Sterling James Crutcher)さんの意見

「わたしが毎日この制服を着るのは、人から賞賛されたり尊敬されたりするためではありません。無料のヘルスケアのためでもありません。子供の頃祖父からしっかり教え込まれたことから、こうしているのです。祖父は自分が軍隊で働いていた頃のことを大いに誇りにしていました。わたしが入隊したのは、国に奉仕し、隣人のために戦うことから得られる誇りに意義があるからです」

I put on this uniform everyday not for praise or adoration. Not for some free healthcare. I do it because it was ingrained in me as child by my grandfather. He spoke so highly and proudly of his years of service in the army. I joined because there is a sense of pride you get from serving your country and fighting for your neighbors.

4. ジェイムズ・マティス(James Mattis)国防長官もトランプのツイートに「愕然」

Trump Says Transgender People Will Not Be Allowed in the Military - The New York Times

国防長官に近しい人々は、マティス氏はトランプ氏がツイートでこの決定を発表することを選んだことに愕然としていたと述べた。その理由のひとつは、海外に配置されている者も含め、現役のトランスジェンダーの軍人たちに対してこれらのツイートが突然投げかけた、「おまえたちはもはや歓迎されていないのだ」というメッセージにある。

People close to the defense secretary said he was appalled that Mr. Trump chose to unveil his decision in tweets, in part because of the message they sent to transgender active-duty service members, including those deployed overseas, that they were suddenly no longer welcome.

5. 18州とワシントンDCの司法長官がトランスの入隊禁止に反対

19 attorneys general sent Congress a letter opposing the ban on trans soldiers / LGBTQ Nation

ハワイ、ニューヨーク、カリフォルニア、コネティカット、デラウェア、イリノイ、アイオワ、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ミネソタ、ニューメキシコ、オレゴン、ペンシルバニア、ロードアイランド、バーモント、バージニア、ワシントン、ワシントンDCの司法長官が、トランプの発表に反対し、トランスジェンダーの軍人を守るよう促す手紙を上院および下院の軍事委員会に送付したとのこと。

6. ジョン・マケイン(John McCain)議員、トランプの発表には理由がないと指摘

「医学的な基準を満たしており、準備ができているアメリカ人であれば、誰もが引き続き軍隊での勤務を認められるべきです。戦ったり、訓練を受けたり、各地に配置されたりすることができる軍人に、軍を去るよう強いる理由はありません。その人の性自認が何であろうとです」

“Any American who meets current medical and readiness standards should be allowed to continue serving. There is no reason to force service members who are able to fight, train, and deploy to leave the military—regardless of their gender identity.

7. 各地でトランス入隊禁止への抗議行動が展開される

8. 各界著名人や政治家からも批判が続々


9. 次なる懸念:トランプは来週、(性的少数者への差別を正当化する)「宗教の自由」大統領令を出すかも?

Trump's next move against LGBTIs could be 'religious freedoms' next week

アンチゲイ(またはアンチLGBTQ)なヘイト団体、「ファミリー・リサーチ・カウンシル(Family Research Council)」が、ラジオ番組で、トランプが来週「宗教の自由(religious freedom)」大統領令を出すと示唆する発言をしたというニュース。ここで言う「宗教の自由(religious freedom)」とは信仰する自由ではなく、宗教的信念を理由として企業などが性的少数者へのサービス提供を拒否したり、性的少数者の従業員を解雇したりできる自由を指します。なお、「ファミリー・リサーチ・カウンシル」は以前からトランプ政権とのつながりがあると言われている団体です。

10. ジェイムズ・コーデン(James Corden)、"L-O-V-E"(ナット・キング・コール)の替え歌でトランプを批判

今回のトランプの馬鹿ツイートがもたらした唯一のよいことは、このパフォーマンスが見られたことかも。以下、歌詞の一部を拙訳。

「L、あいつはレズビアンが好きじゃない。

G、あいつはふたりの男はただの友達でいるべきだと思ってる。

B、あいつのアホな知識じゃ、大学時代だけの一時的なもの。

T、あいつは混乱しちゃう、だから今軍隊は拒否しようとしてるんだ、軍務に就きたいと思っているトランス女性や、すべての人が持っているはずの権利を望むトランス男性を。

合衆国大統領は、受け入れられないと思ってるんだ。真の勇気を知る愛国者たちを。

トランプはぼくやきみへの憎しみを抱いてる。

トランスジェンダーの軍隊に大金はかからない。禁止で節約できるのは予算のわずか0.4%」

(中略)

「トランプは男らしい男だと思われたいんだ、過補償してるんだよ、彼のちっちゃな……手を。

トランスの退役軍人たちは不安な気持ちかも。でも、ぼくらはあなたがたの軍務に感謝しています。

ぼくらはあなたがたみんなを愛しています。LGBT: みんなを愛しています」

動画の2:03あたりからの、レインボーフラッグが出てくる場面にちょっとほろりとしました。トランプは大統領選前、LGBTコミュニティから支持されているとアピールするために壇上でこの旗を持ち出したとき、上下さかさまにして持っていたんですよね。

レインボーフラッグのどっちが上か(赤がいちばん上に来るんですよ本来)すら知らなかったこの男が当選後何をするかなんて、いわばわかりきっていたことでしたが――それでもここまであからさまに、しかもTwitter経由で軽々しく性的少数者の権利を剝奪しに来るとは思っていなかったので、正直今回の件にはかなりなショックを受けました。もうこの先何が来ても驚かずにresistするだけの覚悟を固めておく必要があるんだろうなあ。