石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

カミングアウト後いじめられ自死 米ミシシッピ12歳少年

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2018年3月6日、米国ミシシッピ州のアンドリュー・リーチ(Andrew Leach, 12)くんが自宅の車庫で遺体で発見されました。書置きがあり、自死とみられています。彼は学校で両性愛者としてカミングアウトし、いじめられていたとのこと。

詳細は以下。

Parents mourn death of 12-year-old son who took his life after being bullied | WREG.com

父親のマット・リーチ(Matt Leach)さんによると、アンドリューくんは自分のセクシュアリティのことで悩んでいて、サウスヘイブン・ミドルスクール(Southaven Middle School)のクラスメイトたちからいじめを受けていたとのこと。彼が学校で自分は両性愛者かもしれないと発言した後いじめが悪化したとマットさんは話しており、実際アンドリューくんが残した書置きには悲痛な経験が綴られていたそうです。マットさんによれば、アンドリューくんは同級生らから「痛めつけてやる」「このトイレからは逃げられないぞ」などと言われていたとのこと。

アンドリューくんの近影はこちら。

Attitudeによると、彼の死後、このミドルスクールの生徒らが学校の机や床に「きみがいなくて寂しい」「アンディ、きみのことを忘れない」などと寄せ書きをしたとのこと。それぐらいなら、生きてる間にもっと助けてやればよかったのに。

この事件について、コメディアンのフィリップ・ヘンリー(Phillip Henry)がこんなコメントをしています。

訳:

今の子供たちに本当に『Love, Simon』みたいな映画が必要なのかって? みんな、1週間前のことだぜ。(訳注:この直下にアンドリューくんの自死を伝えるニュース記事へのリンクが貼られています)

Do today’s kids really need a movie like Love Simon?” - y’all, a week ago.

訳:

誤解がないように言っておくが、この「みんな」は異性愛者や、一部のクィアや出版物のことを言ったつもりだった。特にこの出版物のことを言っているわけじゃない。いずれにせよ、クィアな子供たちにはクィアな映画が必要なんだ。この先ずっとだ。

『Love, Simon』は、ヤングアダルト小説Simon vs. the Homo Sapiens Agendaを映画化した、17歳の隠れゲイ少年が主人公の青春映画。監督はオープンリー・ゲイのグレッグ・バーランティ(Greg Berlanti)。どんな映画かは、トレイラーと、実際に見た人たちの反応をご覧ください。

(参考:大人たちに映画『Love, Simon(原題)』を見せてみた。こうなった。 - 今週の未紹介LGBTニュース(2018年3月11日) - 石壁に百合の花咲く

二つ目の動画でこの映画を見た人たちが泣いているのは、この人たちが非ヘテロで、かつてアンドリューくんと同じような立場にいたからですよ。念のため。

性的少数者の子供の周りの人々がいじめを止められず(止める気がなく?)(ひょっとしていじめの存在にすら気づかず?)、取返しがつかない事態になってから机に寄せ書きをするぐらいしかできなかったりするのが現状だからこそ、クィアな子供たちが自分を重ね合わせたり、行く先を照らす光としたりできるクィアな表象が大切なのだと思います。グレッグ・バーランティがインタビューで言ってましたが、昔はTVにすら出てこなかったクィアな表現が、ようやくメインストリームの映画スタジオでも作られるようになってきたのが今という時代。それでもなお、昔のように死んでしまう子がいて、まだ全然助けが足りていないということがやるせなく、口惜しく、悲しいです。