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レズビアンに肯定的な映画の先駆け
シカゴのレズビアン・コミュニティ内での可愛らしいガール・ミーツ・ガールを描いた映画です。今にしてみるとやや古臭いところもステレオティピカルなところもあるのですが、1994年にここまでレズビアンの恋を肯定的に描いて見せたということがすばらしい。レズビアン映画のエポックメイキング的な存在として、高く評価したいです。
およそレズビアンを好意的に描く映画の流れは、この1994年の『GO FISH』から始まったのではないでしょうか。試しにうちのレビューで取り上げた作品の中から、年代順に良作をリストアップしてみると、こんなです。
- 『GO FISH』(1994)
- 『2ガールズ』(1995)/『月の瞳』(1995)
- 『バウンド』(1996)
- 『ウーマンラブウーマン』(2000)
見事なまでに1994年以降に集中。もちろん、1995年以降の映画がすべて『GO FISH』の影響を受けているとは言いません(『2ガールズ』の監督なんか、はっきり否定してますしね)。でも、時代に先駆けてこういう作品をつくったというのは、やっぱりすごいことだと思うんですよ。
このへんがよかった
同じセクシュアリティーの友だちと楽しく過ごして、「彼女欲しいなー」とか、「あの子とあの子をくっつけちゃおうか」とかわいわいやってるレズビアンの姿がきっちり描かれているのが嬉しいです。日本だって、いわゆる「ギョーカイデビュー」済みの子ならこんなもんですよ。一部のノンケが大喜びで想像するほど陰陰滅滅とした世界じゃないのよ。
もちろんレズビアン・コミュニティの中にだって暗い部分はないわけじゃないけど、それは「自分は女の子なのに、女の子が好きになるなんてヘン……(いじいじ)」という浅くて薄っぺらい(薄っぺらいわよ! 19世紀とかじゃあるまいし、今時こんなことでくよくよするのは単なる勉強不足のアホだわ!)悩みなんかじゃなくて、バイセクシュアルに対する偏見だったり、男に女を寝取られる恐怖だったり、理解のない家族との断絶だったりするのよね。『GO FISH』では、そのへんもちゃんと押さえられていてよかった。
このへんはちょっと……
- ラブストーリーとしては起伏が少なく、やや退屈。
- 白黒映画なせいか、キャラクターの見分けがつきにくい。特に短髪ダイキーなキャラは誰が誰だかわかりにくくて、見ていて混乱しました。
- 随所にはさまるメタ演劇っぽい会議シーンは本当に必要だったんでしょうか。
- イーライの新しいヘアスタイル。レズビアンがみんなああいうのが好きなわけではないですー!
まとめ
ラブストーリーとしてはややひねりがなさすぎ(ありていに言って『2ガールズ』の方が万人向けだと思う)だけど、レズビアン・コミュニティを描いた映画としては今見てもよくできています。「あの時代にこれだけのものをつくった」という歴史的価値を含めて、高く評価されてしかるべきだと思います。