
- 作者: 黒柾志西
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2009/07/09
- メディア: コミック
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いろいろと消化不良な最終巻
表紙もクライマックスも百合百合しいっちゃ百合百合しいんですが、肝心のストーリーが消化不良すぎてあんまり喜べない感じでした。「継ぐ者の意思」とかの設定はいったいどこ行っちゃったんですか。キヨの役割も中途半端だし、何よりヒロイン頼子が最後までヘタレのままだったのもどうかと思います。シルヴィやディランや、あと麒麟の角のネタなんかは良かったんですが、いかんせんお話が駆け足すぎてすっきりしない感じが否めません。あざとい触手ネタやエロネタを入れる余裕があったら、話の整合性をもう少しなんとかしてほしかったです。1〜3巻は面白かったのになあ。
頼子、最後まで覚醒せず
頼子が最後まで「お色気担当のヘタレ」「ただの容れ物」でしかなかったところにがっかり。3巻ラストの流れから、てっきりキヨの手荒なレッスンで己の「力」に目覚め、ひと味違った活躍を見せるのかと思ってたのに、ぜんぜんそうじゃないんだもん。結局「継ぐ者の力」が何でどれぐらい強いのかもわからずじまいですし、「継ぐ者の意思」についてはすっかり「なかったこと」にされている模様。盛大な肩すかしをくらった気分です。
その他もいろいろ投げっぱなし
ひょっとしたら自分が何か見落としていたのかと1〜3巻を改めて読み通してみたのですが、
- シルヴィが言ってた「F」とか「Dの後継者」とか、何?
- 「悪魔と妖怪の対立」はどこ行ったの?
- 虚颯が一定期間ずっと黙っていた理由は何?
- キヨ(と『小十郎様』)は結局何者なの?
- 導器の「鬼」は○○のニオイを覚えていたはずなのに、なぜ当の○○に再会しても気づかなかったの?
などなど、かえってよくわからない点が増えるばかりでした。
エロネタは健在なんですが
相変わらずエロ漫画とみまごうほどのエロエロしいシーン(水着とか触手とか)満載ですが、今回はお話の本筋がぐだぐだすぎて、そういった部分を楽しむ余地がまったくありませんでした。正直言って、お色気シーンに割くぶんのコマを、伏線回収に振り向けてほしかったです。シルヴィアーナの陥没乳頭とか、絵として単体で見るとすごく淫靡でいいんですが、やっぱり漫画ってストーリーあってこそのものだと思いますし。
このへんは良かった
まずシルヴィ。「私も案外…」のあの微笑みにとどめをさします。麒麟の角のエピソードも、ネタは早々に割れてしまうとは言え、面白かったです。あと、いきなりとんでもない目に遭ったディランのしぶとさも楽しかった。クライマックスの壮大かつ百合百合しいシークエンスも、それ自体はとても良かったです。
まとめ
「広げた風呂敷、広げっぱなし」という残念な終わり方でした。1〜3巻で配置してきた伏線を、回収せずにそのまま投げまくって終わってしまっている感じ。せっかくの百合百合しさや、凄みと色気を併せ持つ絵柄のよさが、ストーリーのぐだぐださで相殺されてしまっているところが非常に残念です。次回作に期待したいと思います。