ファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズの著者、J. K. ローリング氏が、ハリーの通う「ホグワーツ魔法魔術学校」にLGBT生徒はいるのかというファンからの問いに、Twitterで鮮やかな回答を見せています。
詳細は以下。
J.K. Rowling: 'Of Course' There Were LGBT Students At Hogwarts
ローリング氏の答えはこちら。
.@claraoswiin But of course. pic.twitter.com/Galu47MT4X
— J.K. Rowling (@jk_rowling) 2014, 12月 16
"But of course"、つまり「もちろん(LGBT生徒はいますよ)」ということですね。蛇足ながらこのツイートに添えられた画像のキャッチコピーもついでに訳すと、「ハリー・ポッターが教えてくれたことがあるとしたら、それは、誰もクロゼットの中に住んでいるべきじゃないってことだ」です。ハリーが階段下の狭苦しいクロゼットに住まわされていたことと、本当の自分を押し殺して(クロゼットで)生活させられているLGBTピープルの苦しみをかけているわけ。これ、ちょっと前からいろんなLGBTパレードのポスターにも使われてきた言い回しです。それをここでもってくるとは、やるなあJ. K. ローリング!
以前「ホグワーツのダンブルドア校長はゲイ」と作者が公表したときには、動揺または激怒して「そんな設定は不要」だの「ハリーが襲われる」だのと言い出す人たちと、「そういうこともあるんじゃね」「あれだけキャラがいて全員ヘテロな方が変」とあっさり受け止める人との間にずいぶん温度差が生じたものです。今回のこの発言も、やっぱり受け取り方が分かれるんでしょうかね。あれだけ生まれ/階級/種族等々による差別を悪として描くシリーズを読んでもなお「LGBT生徒がいるなんて嫌」としか思えない人がいるとしたら、いろんな意味でずいぶん気の毒な方なんじゃないかと思うのだけれど。
ほら、先日紹介した通り、「ハリー・ポッターシリーズを読んだ人はそうでない人より社会的マイノリティー(移民、同性愛者、難民など)への偏見が有意に低くなっていた」という研究結果すらあるじゃない? そういう作品だからこそ、あたしなんかは呑気に「別に作中でくわしく描写されていなくても、当然LGBTの生徒もいるに決まってる」と思っていたので、今さらそんな質問が出ていること自体が驚きでした。とりあえず作者自ら太鼓判を押してくれて、ひと安心ですけれども。LGBT嫌いの人たちは、もういいかげんにこのシリーズを楽しむことをあきらめて、オースン・スコット・カード(『エンダーのゲーム』の人ね)でも読むといいんじゃないかしら。アンチゲイ発言で有名な書き手さんらしいから、きっと趣味が合うと思うわ。