石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

今週の未紹介LGBTニュース(2018年11月4日)

『マーベル・コミック』【ハズブロ レプリカ】「レジェンド」2017年版 ソー ムジョルニア

ソーのコスプレをした6歳女児を荒らしが侮辱。父が痛快な反論

Girl wearing Thor costume gets called a lesbian—her dad masterfully takes down the homophobic troll · PinkNews

2018年10月30日、ある父親が、ハロウィーンにマーベルコミックのスーパーヒーロー「ソー」のコスプレをした6歳の娘さんの写真をRedditに投稿。すると、荒らしが「おまえはこうやってレズビアンを作り出すんだな。すぐに中和した方がいいぞ」と嫌がらせのコメントをつけました。

これに対してお父さんがつけたレスがいいんですよ。以下、PinkNewsから引用して訳します。

「父親として、娘の将来に望むことは、幸せで健康でいてほしいということだけだ。もしこの子が成長してゲイになり、それが彼女を幸せにするのなら、そうさせとくさ」。父親はさらにこう書いた。

「あんたは鏡を見て、『自分は本当に、大好きなスーパーヒーローの恰好をして明らかに喜んでいる6歳児をそんなひねくれたやり方で侮辱しようとがんばっているこの人物でいたいのか?』と考えてみた方がいいぞ」

“As her father all I want for my daughter is for her to grow up, be happy and be healthy, if she grows up to be gay and that makes her happy so be it,” the father continued.

“You really need to take a look in the mirror and think do you want to be that person who try’s [sic] to somehow in your twisted way insult a 6-year-old who is clearly happy dressed as her favourite superhero?”

現在この荒らしのコメントは削除されていて、そのためかお父さんからの上記のレスも見えなくなっているようです(スクリーンショットはPinkNewsにあります)。「大好きなスーパーヒーローの恰好をして明らかに喜んでいる6歳児をそんなひねくれたやり方で侮辱しようとがんばっている人物」というありのままの自分像がそんなに気に入らなかったんでしょうかね、この荒らし。まるで石鏡を見て逃げて行った魑魅みたいだな。

それより何より、この6歳の娘さんのコスプレ写真が本当にかわいいので、ぜひご覧になってください。Redditでも見られますが、Advocateにも載ってます。


ハロウィーンにスリザリンコスプレのレズビアンカップル婚約 作者も祝福

J.K. Rowling Congratulates Lesbian Couple's 'Harry Potter' EnGAYgement

2018年10月28日、米国ポートランドで、ハロウィーンパーティーに『ハリー・ポッター』シリーズのマルフォイの恰好で参加していた女性が、アストリアの恰好で参加していた女性パートナーにプロポーズ。無事婚約を果たしました。J.K.ローリングもTwitterでおめでとうのことばを投げかけています。

プロポーズの様子はこちら。

上の動画を最初(0:00~)から見るとわかりやすいかと思うんですが、マルフォイに扮してプロポーズしたヘザー・ピアソンさんは、この日まず、パートナーのステイシーさんに、ポートランドの町中でハリー・ポッターシリーズの本を見つけるスカベンジャーハント(ヒントを探し当てて次の場所に向かい、その場所に隠されていたヒントでまた次の場所を割り出し……と移動しながらおこなう一種の宝探しゲーム)をしてもらっていたのだそうです。最初の3冊にはそれぞれラブレターをはさんでおいて、ステイシーさんが4冊目の『炎のゴブレット』を見つけにふたりの住むアパートメントに戻ったところで、ヘザーさんがその『炎のゴブレット』を使ってプロポーズしたとのこと。

なお、上に貼ったツイートに画像添付されている、開くと"Marry Me"(結婚してください)という文字が立体になって表れる本が、実はその『炎のゴブレット』なんです。もっと大きな写真はこちら。

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Accio engagement! ⚡️💍💓 . Thank you to @the_bookangel for her masterful work with The Goblet of Fire. Truly. 🙏🏼 You are so talented and you deserve all the recognition for this unforgettable moment. If I hadn’t stumbled across your page in February, none of the other pieces of this day would have unfolded (pun intended) the way they did in my mind. Thank you for inspiring the magic inside me! ✨ . Have you watched the full proposal video yet?! 📺🎻 Click the link on my page to watch! If you shed some tears, please share it on your IG story, Facebook, and/or Twitter for us. :) We’d love that!!! . .📸: @ivory.and.oak #ShesMyPearson #HarryPotterProposal #lgbtq #bestproposalever #halloweenproposal #engayged

Heather M. Pearsonさん(@heathermyriahpearson)がシェアした投稿 -

『ハリー・ポッター』シリーズの作者、J.Kローリングも祝福しています。

おめでとうございます、お幸せに!

ワールドシリーズ観客席に旗「トランスの人々には生きる権利がある」

'Trans People Deserve To Live' Flag Displayed At Final World Series Game

2018年10月28日、カリフォルニア州ロサンゼルスで開催された大リーグの第114回ワールドシリーズ第5戦で、三塁側バルコニーに"Trans People Deserve To Live"(直訳すると『トランスの人々には生きる権利がある(生きるに値する、当然生きていていいに決まっている)』と書かれた大きな旗が翻るところが目撃されました。この旗をかかげたのはトランスジェンダーのラティネックス("Latinx"、ラテンアメリカ系住民)の権利を求めて活動しているTransLatin@ Coalitionというグループのメンバーたちで、FOXのテレビ中継では一瞬しか映されなかったものの、映像はソーシャルメディアに乗ってあっという間に広まったとのこと。

TransLatin@ Coalitionがこの旗をかかげたのは、いうまでもなく、トランプ政権によるトランスジェンダー排除の動きに対する抗議です。何がどう排除されそうになっているのかについては、日本語の報道だと、ハフポストの以下の説明が比較的わかりやすいかと思います。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、トランプ政権は性別について、「出生前または出生時に識別される、変わることがない生物学的な形質に基づき、男性または女性の身体的な状態」と定義し、科学的な根拠をもって反論できない限り、変更できなくする考えだという。

この考えが米社会の諸制度に採用されれば、米国に推計で約140万人いるとみられるトランスジェンダーの人々が連邦政府から認知されなくなる恐れがある。性的少数者(LGBTQ)や人権団体が猛反発するのは必至とみられる。

レズビアンの民主党下院議員候補支持のレズビアンカップル宅に怪文書 米カンザス州

Lesbian couple targeted with anonymous letter for supporting LGBT candidate · PinkNews

ゲイのネイティブアメリカン女性がカンザス州予備選で逆転勝利 - 今週の未紹介LGBTニュース(2018年8月12日) - 石壁に百合の花咲くの続報。カンザス州の既婚レズビアンカップル、Kate GuimbellotさんとJulie Brundiesさんが、このオープンリー・ゲイの民主党下院議員候補シャリス・デイヴィッズ(Sharice Davids)氏を応援する看板を庭に立てていたところ、匿名の人物からホモフォビックな偏見をむき出しにした手紙が届けられたのだそうです。手紙の全貌は、同州下院議員候補のアンジェラ・ジャスタス・シュウェラー(Angela Justus Schweller)氏のFacebookで見ることができます。

手紙の差出主はこのレズビアンたちが結婚していることも、カップルだということも無視したいらしく、「あなたとあなたの『パートナー』は」とわざわざ引用符を使って書いた上で、まず質問を切り出しています。その質問というのは、あなたたちはシャリス・デイヴィッズがゲイだから投票するつもりなのか、それとも「極左の社会主義者」だから投票するつもりなのかというもの。他の選択肢は、この差出人の頭の中にはなかったらしいです。

差出人の文章はここからヒートアップし、もし後者であれば、おまえたちは「極左の社会主義者」という看板を庭に立てて、自分たちはアメリカ合衆国を信じず、政府に何もかも支配させたがっていて、自由と個人の権利を信じず、罪もない子供たちを中絶で殺すことを応援しているのだと周囲に示せ、隣人たちに本当の姿を知らせろという謎の論理を展開しています。「もし」も何も、完全にそうだと決めつけた上での文章ですよ、これ。

その次のパラグラフがさらにひどい。

あなたの隣人たちはあなたたちが選んだライフスタイルで生活する「権利」を尊重することはできます。しかしわたしたちは、あなたたちの反米的な敵意と無知を尊重することはできません!

Your neighbors can respect your "right" to live the lifestyle you've chosen. But we can't respect your anti-Amecican hostility and ignorance!

またしても権利という語をわざわざ引用符でくるんでいる(つまり、巷では権利だと言われているが、本当はそんな権利なんてないんだぞという言外の意味をにおわせているわけ)上に、「選んだライフスタイル」というアンチゲイなキリスト教徒御用達のフレーズを用い、しまいに「あなたたちの反米的な敵意と無知」という根拠のない決めつけまで披露。どう考えても、敵意に満ちてて無知で、自由も個人の権利も認めてないのは差出人の方でしょ。米国には自分が選んだ議員候補を応援する自由もあれば権利もあると思ってたんだけど、違ったの?

ちなみにNYタイムズの10/14~17の世論調査ではデイヴィッズ氏支持が48%、対立候補のケヴィン・ユッダー(Kevin Yoder)氏支持が39%で、デイヴィッズ氏が有利だったとのこと。より正確に言うと、エマーソン・カレッジとNYタイムズによるこれまでの計4回の世論調査すべてで、デイヴィッズ氏が勝っていたようですね。このまま氏が当選した場合、上記の手紙を書いた人がこのレズビアンカップルを逆恨みして何かやらかすんじゃないかと心配です。

ケイトリン・ジェナーがLGBTQ+団体に6万ドル以上寄付

Caitlyn Jenner wanted to focus on transgender awareness, not politics

ケイトリン・ジェナーがいまさらトランプ推しを後悔 - 今週の未紹介LGBTニュース(2018年10月28日) - 石壁に百合の花咲くの続報。かつて支持していたトランプをワシントンポストの2018年10月25日付けの記事で批判したケイトリン・ジェナー(Caitlyn Jenner)が、アリゾナ州の複数の非営利LGBTQ+団体に計6万ドル以上を寄付したそうです。厳密にはお金はケイトリン個人からではなく、彼女が18か月前に設立したケイトリン・ジェナー財団(Caitlyn Jenner Foundation)から出ています。寄付したお金は、トランスジェンダーやジェンダー・ノンコンフォーミングの人々のヘルスケアや、学校をLGBTQの子供たちにとってより安全なものにする活動などに使われるとのこと。

先日、声明文なんか書くよりトランスジェンダーの人々のために戦っている団体にドカッと寄付でもした方がいいんじゃないのと書きましたが、寄付もしたんなら何より。寄付したことを自らTwitterに載せちゃうあたりがカーダシアン家だなあとは思いますが、それはそれ、これはこれ。


「父に投票しないで」差別主義者の下院議員候補の子ら訴える 米ミズーリ州

Don’t vote for our racist, homophobic, anti-Semitic dad, son and daughter of GOP candidate warn – VICE News

共和党のミズーリ州下院議員候補スティーヴ・ウエスト(Steve West, 64)氏の子供、エミリーとアンディー・ウエスト(Emily and Andy West)氏が、自分たちの父はレイシストでホモフォビックで反ユダヤ主義だから彼に票を入れないでと呼びかけています。

「父が政府の一員になるところなど、とにかく想像もできません」とエミリーは月曜日に「カンザス・シティー・スター」に話した。

“I can’t imagine him being in any level of government,” Emily told The Kansas City Star on Monday.

「もし父が当選したら、彼の主張が正当化されてしまうでしょう」とアンディーはAPに話した。「当選すれば父は州当局となるんですが、彼はユダヤ人には公民権を持つことすら許されないと言っている人です」

“If he gets elected, it would legitimize him,” Andy said to AP. “Then he would become a state official, and he’s saying that Jews shouldn’t even have civil rights.”

ちなみにスティーヴ・ウエスト氏は、同性婚は「反キリスト教」だとか、ヒトラーは「正しかった」などの過去発言でも知られる人なんだそうです。ガーディアンによると、女子スポーツは「レズビアニズムの避難所であり繁殖地」だなんてことも言ってたらしいですよ。なお彼の見解では、エミリーさんとアンディーさんが父親に投票しないようにと言っているのは、ふたりが元妻(エミリーさんとアンディーさんの実母)に「毒された」からだとのこと。何から何までひどい。

それでも何が起こるかわからないのが選挙の怖いところだし、「当選されたら主張が正当化されてしまう」というアンディーさんの言葉が重いわ。ミズーリ州の選挙結果を、心して見ておかなくては。

書店のドラァグクイーン読み聞かせタイムにホモフォビックな女性が乱入 米カリフォルニア州

Christian woman interrupts Drag Queen Story Time with homophobic abuse

米国カリフォルニア州の「セラー・ドア」(Cellar Door)という書店で開催されていたドラァグクイーン読み聞かせタイム("Drag Queen Story Time"、ドラァグクイーンを招いて子供たちに絵本などの読み聞かせをしてもらうイベント)に、ジュヌヴィエーヴ・ピータース(Genevieve Peters)なるクリスチャン女性が乱入。ホモフォビックな罵倒をまき散らし、警備員から帰ってほしいと言われてもその場を動かず、最終的に警察がこの女性を家まで送り届けることになったとのこと。

ピータース氏は同店がドラァグクイーン読み聞かせタイムをするたびに何度でも戻ってくると言って脅したそうですが、店主の シャーマン・ヌーリック(Sherman-Nurick)氏は意に介せず、12月にまた同様のこのイベントをやると言っているそうです。

次はピータース氏が現れた時点で子供たちに「こういうふうに、おとこのひとがドレスをきておけしょうをしているのをみると、こわくなったり、はらがたったりして、ひどいことをいうひとがいます。こういうこわいきもちやはらがたつきもちのことを、ホモフォビアといいます」と教えるといいんじゃないかな。

コンバージョンセラピーの「セラピスト」がアウティングされる

Notorious 'Gay Conversion' Therapist Outed as 'HotnHairy72' on 'Manhunt' and 'Bear Nation' - Towleroad Gay News

コンバージョン・セラピー(ゲイを異性愛者に変えるという触れ込みのいんちき療法)の療法家、ノーマン・ゴールドワッサー(Norman Goldwasse)氏が、実はゲイ用出会いアプリのユーザだったとしてアウティングされました。

この告発をおこなった非営利法人"Truth Wins Out(TWO)"の覆面調査によると、ゴールドワッサー氏は同性愛は強迫性障害と同等のものだとしてクライアントに「治療」を行うかたわら、ゲイ用出会いアプリ"Manhunt"でセックスのパートナーを求めていたとのこと。また彼は、Manhuntで使っていたのと同じユーザーネームで、同様のアプリ"Bear Nation"にもプロフィールを作成していたのだそうです。

さらにおぞましいのが、ゴールドワッサー氏は「治療」の一環としてゲイ男性たちを森に連れて行く「男らしさへの旅」(Journey into Manhood)というキャンプを実施していて、そこでは「癒しの接触」("healing touch")なるテクニックが使われていたということ。これは「幼少期に足りなかった父と子の絆を作り直す」という理屈のもと、男性同士で体を触りあったり抱き合ったりするというセラピーなんだそうで、座った状態で後ろから抱きしめられる「モーターサイクル」というテクニックを使われた参加者は、後ろの男性の勃起が体に押し付けられているのを感じたと述べています

子供をこの手のキャンプに送り込もうとしている親御さんに広く知られてほしいケースだよね、これ。「コンバージョンセラピーのセラピストが実はゲイ」っていうのは、『ウィル&グレイス』なら楽しいギャグだけど、現実だとまったく洒落になりませんよ。