6月のLGBTプライド月間を祝し、アメリカン航空がTwitterなどのプロフィール画像をレインボーカラーに。それが気に入らなかった顧客からのツイートに、シンプルかつ鮮やかな切り返しを見せました。
詳細は以下。
まず、問題のプロフィール画像は以下参照。
これをよく思わなかったのが、南部バプテストテキサス協議会(Southern Baptists of Texas Convention)の伝道指導者ネイサン・ロウリック(Nathan Lorick)氏。Twitterでこんな苦言を呈しました。(現在このツイートは削除されています)
@AmericanAirレインボーカラーの画像はいったいどうなってるんだ?
@AmericanAir what's the deal with the rainbow colored image? — NathanLorick (@Nathan Lorick)
アメリカン航空は以下のようにリプライ。
@NathanLorick June is pride month across the globe and we are proud to support the LGBT community and its allies.
— American Airlines (@AmericanAir) 2015, 6月 15
訳:「世界中で6月はプライド月間であり、当社はLGBTコミュニティとそのアライの方々を支援できることを光栄に思っております」。
ロウリック氏はこの説明に「がっかり」されたようです。
@AmericanAirそのライフスタイルに賛成しない客がたくさんいる企業にしては、お粗末な選択であるようだな!#がっかりだ
@AmericanAir Seems like a poor choice from a company that certainly has many customers who do not agree with that lifestyle! #disappointed — NathanLorick (@Nathan Lorick)
ここで「ライフスタイル」という語が出ていることにご注目。少なくとも英語圏では、こと同性愛がらみの話題でこの単語を持ち出す人はほぼ確実に偏見持ちだと思って間違いありません。「『性的指向』なんてものはない。お前らが勝手に神の掟に背く『ライフスタイル』を選んでいるだけで、戻ろうと思えば異性愛者に戻れるのだ」という言外の意味があるんですよ、この単語。この根拠のない「ライフスタイル」説にもとづき、怪しげな「同性愛治療」(電気ショックなど)で同性愛者を痛めつけてうつ状態や自殺企図などに追い込む宗教団体が少なくないこともお忘れなく。
さて、ロウリック氏の「がっかり」に対し、アメリカン航空はたいへんシンプルなお返事をツイートしました。
@NathanLorick We're sorry for your disappointment.
— American Airlines (@AmericanAir) 2015, 6月 15
訳:「がっかりされたとのこと、お気の毒に思います」。
野暮を承知で解説すると、この英文、文脈を無視すれば「あなたを失望させてしまい申し訳ありません」と訳すこともできないわけではないんです。でも、ここでの"sorry"は謝罪の意味じゃないと思うんですね。これはどう見ても、"sorry"の第1義である「気の毒」「かわいそう」か、せいぜい「残念」の意でしょ。つまり、早い話が「あなたが偏見持ちであることを気の毒に/かわいそうに/残念に思います」ぐらいの意味なんですよ、これ。
ちなみにアメリカン航空は去年の6月にも機体からレインボーフラッグを下げたりして、LGBT支援を表明していたようです。
Thank you #AmericanAirlines for your support #LGBT #PRIDE pic.twitter.com/ON22ZEoM1E
— SANDALIO CARMONA (@SANDALIOCARMONA) 2014, 6月 13
さらに今年も、SNSのプロフィール画像を変えるだけにとどまらず、本部にもレインボーフラッグを飾っている模様。こんな会社に向かって、アホみたいな多数論証で「LGBTをよく思わない客が『たくさん』いる(のだから俺の気に入らないロゴを使うな)」と主張するとは滑稽そのもの。たった5単語でさらりと切り返してみせたアメリカン航空は大人だなあと思ったことでした。