石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

米国運輸保安局、トランスジェンダーの体を「異常」と呼ぶのをやめる

TSA Security Checkpoint
TSA Security Checkpoint / billypalooza

米国運輸保安局(TSA)が、空港でのセキュリティチェックでトランスジェンダーの乗客の身体を「異常」 ("anomaly") と形容するのをやめると発表しました。既にWebサイトからもこの表現を取り除いたとのこと。

詳細は以下。

TSA to stop using 'anomaly' in describing transgender passengers - CNNPolitics.com

ことのおこりは2015年9月、トランスジェンダー女性のShadi Petoscaryさんがオーランド国際空港の全身透視スキャンで「異常」が検知されたとして40分間足止めを食ったことにあります。そのときの本人のライブツイートがこちら。

訳:「『異常』(ペニス)があるからという理由で、オーランドでTSAに拘束されています」。


訳:「オーランド空港のTSAに写真を撮ってはいけないと言われましたが、これは侮辱です。わたしは飛行機に乗れませんでした」。

訳:「TSAのブラムレットという係官に、男として機械に入り直しなさい、さもなくば問題になると言われました」。

他のTwitterユーザからの「生まれたとき男だったと言わなかったんだろう」、「身分証明書の問題だろう」などという邪推に対し、彼女は「自分はトランスジェンダーで男性器があるとすぐ話した」「名前の記載された身分証明書を提示してあった」と反論しています。

TSAはこの件について、「市民権侵害の可能性はどんなことでも真剣に受け止める」と回答。その後WebサイトのFAQコーナーに、「トランスジェンダーの人々は本人の述べる通りのジェンダーでスキャンを受ける」と記載したほか、トランスジェンダーの乗客に対してもっと繊細な対応ができるよう、係官の教育方針を見直すと発表したとのこと。

思うに、これはトランスの乗客だけでなく、TSAの職員たちにとっても朗報なんじゃないかと。Petoscaryさんによれば、この件に関して現役職員や元職員からメッセージが寄せられており、ある10年選手の職員は、トランスジェンダーに関する教育はこれまで一度も受けたことがなく、教育担当者に質問してもジョークにされて終わりだったと教えてくれたそうですから。よくある「不快に感じられたらお詫びします」(というだけで再発防止策は何もとらない)方式で済ませなかったTSAもこれでいくらか株を上げたことでしょうし、結局、Twitterで始まった小さな抗議が、"Everybody wins"な結果をもたらしたと言えるのではないでしょうか。

今回のTSAの対応にヒラリー・クリントンがさっそく反応しています。訳:「トランスジェンダーの人びとは、どんな場所でも尊重され、安全に過ごせ、平等に扱われて当然です。TSAは賢明な策を取りました」。

それを見て喜ぶPetoscaryさんのツイート。

訳:「今すごくみっともない顔で泣いてる。セルフィーはなし」。