石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

保護者らがトランス生徒を脅し学校が2日休校に 米オクラホマ

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オクラホマの中学校で、12歳のトランス女子生徒が女子トイレを使ったことに腹を立てた保護者らが、Facebookでこの生徒への加害を煽ることばを書き連ねました。安全のため学校は2日間休校となり、FBIなどが捜査しています。

詳細は以下。

Oklahoma school shuts down for 2 days after parents threaten transgender 7th grader - ABC News

このトランスジェンダーの生徒、マディー(Maddie)さんはアキル・パブリック・スクール(Achille Public School)の7年生。何年も前から女性として生活していて、5年生でこの学校に転入してきたときも、最初から「マディー」の名で女子生徒として通学していました。ただ、女子トイレで他の生徒から「他のトイレをのぞき込んでいた」という疑いをかけられたことがあって、以来2年間ずっと、マディーさんは職員用のトイレを使ってきたのだそうです。母親のブランディ・ローズ(Brandy Rose)さんによれば、マディーさんはトイレを使うとき「体を前に大きく傾ける」くせがあるのでそう思われたのではないかとのこと。

2018年8月8日、新学年が始まるとともに、困ったことが起こりました。7年生に進級してこれまでとは違う校舎に通い始めたマディーさんに、誰も職員用トイレの場所を教えていなかったんです。彼女はそれで一回だけ女子トイレを使ったのですが、そのことを知ったひとりの保護者が、プライベートなFacebookグループでマディーさんのことを誹謗し始めました。グループのメンバーも、マディーさんのことを「彼」「それ」などと呼び、暴力を煽る書き込みをしています。以下、Towleroadに掲載されたスクリーンショットより、会話を一部引用して和訳してみます。

「5年生から7年生の女の子がいる親たちに警告。あのトランスジェンダーはもう女子トイレを使っている。学校は彼に間違いなく自分用のトイレを使わせることについて予想の斜め上を行き、彼はまだ女子トイレを使っているんだそうだ」

ジーナ・セブレイヴス「『それ』は何歳なの」

ジェイミー・クレンショー「12歳。5年生でうちの学校に来て、今7年生」

エディー・ベルチャー「彼が女になりたいなら女にしてやれ。よく切れるナイフがあれば本当にすぐ済むぞ」

ケヴィン・ビッカースタッフ「子供らにトイレで〇を蹴っ飛ばせと言ってやれよ、そうすりゃ『それ』はもう戻ってきたいと思わなくなるぞ!!」

Heads up parents of 5th thru 7th grade girls. The transgender is already using the girls bathroom. We have been told how the school has gone above and beyond to make sure he has his own restroom yet he is still using the girls.

Gina Segraves
How old is this thing

Jamie Crenshaw
12. he came to our school in the 5th grade and is now in the 7th.

Eddie Belcher
If he wants to be a female make him female. A good sharp knife will do the job really quick

Kevin Bickerstaff
Just tell the kids to kick *** in the bathroom and it won't want to come back!!

お茶の水大学の、トランスジェンダー生徒の入学許可にまつわる騒ぎを見ても思ったけど、トランスフォビックなシスジェンダーの人たちの頭ん中って、本っ当に男性器中心に回ってるのねー……。「男性器が人のジェンダーや欲望のありようを全部決定している」という信念がまずあって、その信念に合致しない現実に出くわすと、人の性器を自分たちの信念に合うよう(強制的にでも)変えさせようとするか、存在そのものを排除しようとするかの二択になるんだよね。うんざりだ。

あと、洒落にならないのは、マディーさんはこの学校に来る前、テキサス州の学校でいじめを受け、男子用トイレを使えと言われて暴力をふるわれていたということ。それで「新しいスタート」を切るためにオクラホマに転居していたのに、なんと大人が扇動して同じこと(ナイフ云々のくだりは同じどころかもっとひどいですが)を繰り返させようとしたなんて、ひどすぎる。

ブランディ・ローズさんは、娘の生命の危機を感じて保護命令の申し立てをしたそうです。ブライアン郡保安官の申し入れで、危険回避のため学校は8月13日(月)から14日(火)まで休校となりました。FBIを含むいくつかの機関は、ヘイトクライムを構成する書き込みがあったかどうかの調査に乗り出しているとのこと。

さて今回の件の救いは、まず火曜日の朝、マディーさんへの脅迫に抗議する集まりが開かれたこと。それから同日ビーン教育長がインタビューで「わたしたちが職員としてしたことではなく、しなかったことについて、わたしたちにはもっと教育が必要だと判断するに至りました」と語ったということ。教育長は生徒の安全のため新たに監視員を雇用しており、今後スタッフのトレーニングを増やし、保護者の教育にも努めたいと述べているそうです。学校は水曜日に再開され、GoFundMeでは同日、マディーさんの一家が他の街に引っ越すためのクラウドファンディングが始まりました。開始時点で目標額1万ドルだったこのクラウドファンディングには、8月18日の時点で早くも1万9千ドル以上が寄せられています。この際、マディーさんの大学進学費用ぐらいまで集めちゃって、ゆくゆくはセブン・シスターズみたいな先進的でインクルーシヴな大学に進んでもらうといいよね。