豪州シドニーで毎年開催される性的少数者の祭典「シドニー・ゲイ・アンド・レズビアン・マルディグラ」が、家族へのカミングアウトをテーマにしたユニークなCMを発表しています。
詳細は以下。
This hilarious video is built around a strange metaphor for being gay / LGBTQ Nation
動画はこちら。
この動画のタイトルは「一大事("The Big Deal")」。登場するのは、お父さんの誕生日を祝うため庭でバーベキューをしている一家。ハッピーバースデーの歌を歌い終わって、みんなが肉やソーセージにバーベキューソースをかけていると、息子が立ち上がって緊張したおももちで話し始めます。息子の隣の席には、恋人とおぼしき男性が座っています。
「母さん、父さん、話したいことがあるんだ……」
"Mum, dad, I have something to tell you..."
典型的なカミングアウトの場面ですが、この次に来る発言はこれです。
「ぼくは(バーベキューソースではなく)トマトソースが好きなんだ」
"I like tomato sause."
息子の爆弾発言に凍り付く家族たち。やがて父親がぎこちなく笑い出し、冗談として流そうとするのを見て、息子は断固としてこう続けます。
「いや、父さん、ぼくはトマトソース好きの男なんだよ。前からずっとそうだった」
"No, Dad, I'm a tomato sause man. Always have been."
家族たちは黙り込み、父親はひとり席を立って、鏡の前で苦悩し始めます。しかしその後、まなじりを決して戻ってきた彼は、まっすぐ息子に歩み寄って力いっぱい抱きしめるのでした。食卓には打ち解けた空気が戻り、全員がまた楽しくバーベキューを食べ始めます。
ここでよく見ると息子は隣の席の男性とキスをかわしていて、ふたりの薬指にはおそろいのリングが光っています。こっちはどうでもいいんかいというオチですが、考えてみれば、「好きになる相手のジェンダーが何であるか」なんて、「バーベキューにかけるソースは何が好きか」というのと同程度の些事なはず。動画の最後には、駄目押しにこんなテロップが出てきます。
単純な相違で大騒ぎするべきではありません。
A SIMPLE DIFFERENCE SHOULDN'T BE A BIG DEAL.
まったくその通りだよね。ソースの好みの違いでいちいちショックを受けたり苦悩したりする必要はないのと同様、性的指向の違いで大騒ぎする必要も実はないのだということに皆が気づいて、少数派がわざわざ「カミングアウト」する必要がなくなる日が早く来るといいね。
余談ですが、上記のテロップの後にこんなギャグが用意されているところにも笑いました。おばあちゃんがこう言い出して、みんなに止められてるんです。
「あたしゃ1964年にトマトソースを試してみたことがあるんだよ、それでね……」
"In 1964, I've tried tomato sauce before..."
現実のカミングアウトでも、身近な人からこういう「実は昔自分も」発言が飛び出すことってありますからね。そのへんも含めて、よくわかってる人が作った動画だなあと思いました。