石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

米ウィスコンシン州のカトリック司祭がゲイとしてカミングアウト

米ウィスコンシン州ミルウォーキーのローマン・カトリック牧師、グレゴリー・グライトン(Gregory Greiten)氏が、2017年12月18日、同国のカトリック系ニュースサイトNational Catholic Reporterのコラムでゲイとしてカミングアウトしました。

詳細は以下。

Parish priest breaks the silence, shares that he is gay | National Catholic Reporter

グライトン氏はミルウォーキー大司教区の聖職者。1992年に叙階し、現在はセント・バーナデット教区の司祭として神に仕えている人です。80年代に神学校の生徒だった頃には学校の抑圧的な(同性愛者とみなされた生徒は学校から尋問されたり、突然『家庭の事情』で学校から消えたりしていたんだそうです)環境から自分の性的指向を否認していたグライトン氏ですが、24歳のとき、ついに否認の限界が来たとのこと。そのときのことを、彼はJack Morinの以下のことばを引いて説明しています。

「自分のセクシュアリティを相手に戦争をしたところで、結局は負ける。そして、戦いを始める前よりひどいことになる」

" If you go to war with your sexuality, you will lose, and end up in more trouble than before you started."

とうとう「わたしはゲイだ」と自覚したグライトン氏は、恥の感情にさいなまれて涙をぼろぼろ流し、神学校の5階の窓の窓枠にまたがって、片足を建物の外に、もう片足を室内側に垂らしたまま3時間も座っていたそうです。そのまま飛び降りるか、自分がゲイだという事実を受け入れるかの二者択一の3時間だったというわけ。そこで飛び降りなかったからこそ、今の彼があるということになります。

ジョージタウン大学のThe Center for Applied Research in the Apostolate (CARA) の研究や、Fr. Donald B. Cozzensによる「23〜58パーセントの聖職者はゲイ」という推定などを紹介した上で、グライトン氏は「自分はひとりだが、孤独ではない」と書いています。彼はローマン・カトリックの聖職者として、これまで教会が傷つけてきた「LGBTの兄弟姉妹たち」に謝罪したいと考えており、沈黙を破ることで「隠れたことばを預言のことばに、絶望のことばを希望のことばに、怒りのことばをゆるしのことばに、悲しみのことばを喜びに満ちたことばに」変えていきたいと思っているとのこと。

もう我慢したりしません。もう黙ってはいません。沈黙の代償は、あまりに大きすぎます。わたしの真実を語らねばなりません。わたしはあまりに長い年月、わたしの教会と世界に広がっているホモフォビアと差別が原因で、鎖につながれてクロゼットに閉じ込められていました。そのクロゼットは恥と、トラウマと、虐待でできた壁に隠されていました。しかし今、わたしは自分の魂を傷つけることができるものは何もないと知り、自由の中で新しい計画を立てています。これは神さまがお創りになった通りの自分を受け入れ、愛するということの、最初のステップです。

「わたしはグレッグです。ローマン・カトリックの司祭です。そして、ええ、わたしはゲイです!」

I will no longer contain. I will not be silent any longer; the price to pay is way too great. I must speak my truth. I have lived far too many years chained up and imprisoned in the closet behind walls of shame, trauma and abuse because of the homophobia and discrimination so prevalent in my church and the world.

But rather, today, I chart a new course in freedom and in integrity knowing that there is nothing that anyone can do to hurt or destroy my spirit any longer. First steps in accepting and loving the person God created me to be.

"I am Greg. I am a Roman Catholic priest. And, yes, I am gay!"

これ、ものすごく勇気のいるカミングアウトだったと思うけど、同時にものすごく必要なカミングアウトでもあったのでは。かつてのグライトン氏のように窓枠にまたがったまま泣いている人はたぶんまだまだたくさんいて、ポジティブなロールモデルが必要ですから。そうそう、この神父さんがテレビのインタビューで言ってることもよかったので、よろしければ下記の動画もあわせてどうぞ