ブルネイで2019年4月3日から、同性間の性行為や不倫に対して石打ちによる死刑を科す刑法が適用されました。先日のジョージ・クルーニーに加えて多くの著名人や企業が、ボイコットによる抗議を呼びかけています。
詳細は以下。
AFPBB Newsによればこの新刑法は、強い批判を受けて4年間保留にされたのち、ついに導入されたものだとのこと。イスラム教徒に限って適用され、不倫や男性同士の性行為に対しては石打ちによる死刑が、そして窃盗に対しては手足の切断などの刑罰が科されることになっています。CNNによれば女性同士の性行為はむち打ち100回の刑で、異性装、人口妊娠中絶、婚外妊娠にも禁錮刑が科されるとのこと。
米俳優ジョージ・クルーニー(George Clooney)はこの刑法に抗議するため、ブルネイの国王が所有する以下の9つのホテルのボイコットを呼びかけていました。
- The Dorchester, London
- 45 Park Lane, London
- Coworth Park, UK
- The Beverly Hills Hotel, Beverly Hills
- Hotel Bel-Air, Los Angeles
- Le Meurice, Paris
- Hotel Plaza Athenee, Paris
- Hotel Eden, Rome
- Hotel Principe di Savoia, Milan
著名人や企業も、相次いでこのボイコットへの賛同を表明し始めています。
以下、エレン・デジェネレス(Ellen DeGeneres)のツイート。
Tomorrow, the country of #Brunei will start stoning gay people to death. We need to do something now. Please boycott these hotels owned by the Sultan of Brunei. Raise your voices now. Spread the word. Rise up. pic.twitter.com/24KJsemPGH
— Ellen DeGeneres (@TheEllenShow) 2019年4月2日
ビリー・ジーン・キング(Billie Jean King)のツイート。
This atrocity begins today in #Brunei. Please join me and spread the word about the boycott of hotels owned by the Sultan of Brunei. https://t.co/GcJnlbq5nb
— Billie Jean King (@BillieJeanKing) 2019年4月3日
エルトン・ジョン(Elton John)のツイート。
Here are the hotels to boycott:
— Elton John (@eltonofficial) 2019年3月30日
The Dorchester, London
45 Park Lane, London
Coworth Park, UK
The Beverly Hills Hotel, Beverly Hills
Hotel Bel-Air, Los Angeles
Le Meurice, Paris
Hotel Plaza Athenee, Paris
Hotel Eden, Rome
Hotel Principe di Savoia, Mi
Elton xx
ジェイミー・リー・カーティス(Jamie Lee Curtis)のツイート。
I stand with George Clooney, a good man doing the right thing, fighting an unjust and barbaric law. George Clooney: Boycott Sultan Of Brunei’s Hotels Laws Against LGBTQs | Deadline https://t.co/fjR2hv1sTb
— Jamie Lee Curtis (@jamieleecurtis) 2019年3月28日
英国のTVチョイス賞は、今年の授賞式をドーチェスター・ホテルでは開催しないと発表しました。英紙フィナンシャル・タイムズも、同ホテルでのイベントを中止すると発表。ドイツ銀行も、ブルネイの問題の刑法は「もっとも基本的な人権を侵害している」として、同ホテルをサプライヤーのリストから外すという声明を出しています。旅行会社のSTAトラベルは、「ブルネイでの最近の法律の変更に抗議するため」ロイヤルブルネイ航空のチケットの販売を停止すると公表しました。
さて、このようなバックラッシュのさなか、ブルネイの9つのホテルは何をしたか? 答えは「ソーシャルメディアのアカウントを消しまくること」。
上記のCBS Newsの記事によれば、これらのホテルのTwitterやInstagramやFacebookのアカウントは削除されたり非公開にされたりして、アクセスできない状態になっているとのこと。
しかしながら、これだけを見て「ボイコットが効いてる」と考えるわけにはいかなさそうです。詳しくはBBCによる以下の報道をどうぞ。
そう、同国の厳格な刑法導入に反対する運動は2014年からずっと続いているのに、これまでドーチェスター・ホテルの売り上げは下がるどころかむしろ増えていたんです。結局のところ、ブルネイから石油を輸入している日本、韓国、マレーシアが石油の不買に踏み切るぐらいのことをしなければ、同国は批判を深刻には受け止めないのではないのかというのが上記動画の主張。一理あるけど、日本を含めてどれもアンチゲイな国であることを考えると、見通しはあまり明るくなさそうですね。どうなるんだろう、これから。
追記
オックスフォード大が2019年4月6日、「ブルネイでの新しい刑法の国際的な反発を共有し、国連によるその法の施行中止の呼びかけを強く支持する」として、ブルネイ国王の名誉学位を見直すという声明を出したようです。
これで刑法が変わるということはないだろうけど、反対するという姿勢を世に示すことが大事なんだと思います。