石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『プリティ・タフ』(佐野タカシ、大都社)感想

プリティ・タフ (Hard comics)プリティ・タフ (Hard comics)
佐野 タカシ

大都社 2000-11
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ここまできちんと女の子同士の「恋」を描いてみせた偉業に拍手

ずっと続刊を待ってたレズマンガがいつの間にか出版されてたので、ほくほくして買ってきました。「プリティ・タフ」といいます。作者は佐野タカシ、出版社は大都社。もともとフランス書院から1巻だけ出て止まってたっぽいんですが、結局全部の話を1冊にまとめて出し直すことにしたようです。(後日付記:後から調べたところ、『プリティ・タフ』には1996年に茜新社から上下2巻に分けて出版された版もあり、実はそちらの方が表紙絵は可愛いかったりします)。ま、どんな形であれ、話が最後まで読めてうれしいわ。

「そんなマンガ、知らない」とおっしゃる乙女な方も多いことでしょう。無理もないわ、だってこれ18禁マンガ誌に掲載されてたエロマンガだもん。だけどねー、これ、かわいいのよ。「うち、レズビアンなんやー!」と明るく自己肯定してしまうコテコテ関西弁美少女なりりん(成子)も、そのお相手のめぐめぐ(恵)も、めっちゃかわいい性格してる。あと、Hシーンに、この手のマンガにつきもののエグさがないのも拍手もんよ。

あたしは声を大にして言いたいんだけど、バイブ(またはそれに類するもの)が出てこないレズマンガ(しかもエロ)って貴重だと思うのよ! すごく! いや、別にバイブがいかんって言うんじゃなくてね、「とりあえずなんか突っ込んどきゃ女は感じるだろ」っていう安易なエロって、つまらんと思うんだな。その点、この「プリ・タフ」はよく出来てると思います。

ちなみに肝心のストーリーの方は、メインテーマの成子と恵の繊細な恋模様のみならず、サブキャラクタの唯月や歩の切ない片想いも白眉です。終始みんなの恋をにこにこと見守り続けるふさこさん(後半、見守るだけじゃなくなりますが)の大人っぷりもいいですね。エロ漫画誌連載(=毎回必ずエロにかなりのページを割かねばならない)という条件下でここまできちんと女の子同士の「恋」を描いてみせた偉業に拍手を送りたいと思います。

ただ、ひとことだけ苦言を呈するとするなら、作者の絵柄がいつの間にかえらく変わっちゃって、表紙と中身の絵が全然違うことだな……。大都社版は、表紙だけ見ると、なんかもうどこにでもあるご都合主義エロマンガにしか見えません(スリムだったはずのなりりんが、表紙だけシリコン爆乳ギャルみたいになってる)。何があった、佐野タカシ。ま、それさえ無視すれば、まずは祝・出版なのでした。見かけたら読んでみてくださいな。