石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

映画『四角い恋愛関係』感想

四角い恋愛関係 [DVD]

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キュートな恋愛コメディ

結婚式を挙げたばかりの花嫁レイチェルが、式場で花係りをしていたレズビアンのルースと恋に落ちる話。いやあ、面白かった! ドロドロの不倫話には決して傾かず、最後まで皆誠実で一生懸命で、ひたすらキュートなんですよ。レイチェルの夫ヘックがいい人すぎて、気の毒でどうしようかとも思いましたけど、最後的には彼にも素敵な運命が待っていてほっとしました。ひと昔前には、レズビアン映画というと必ず誰かが絶望したり自殺したり連続殺人鬼になったりしていたのに、この映画では、結局誰も不幸にはなりません。レズビアン映画もここまで来たんだなあ。

こんなところがよかったです

1. ユーモア

まず、ユーモアがきちんと効いているところ。言い換えると、会話がきちんと練られているってことなんですが、ルースと花屋のおかしなお客たちのやりとりとか、スーパーマーケットでのシークエンス、ルースの幼い妹「H」の発言など、どれもクスクスニヤニヤさせられました。台詞の言い回しも気がきいていて、

"She's gay."(彼女、ゲイなの……)
"As a tennis player."(テニス選手並みにね)

とか、

"She's not just heterosexual. She's, like, Barbie heterosexual."(あれは筋金入りのストレートだね、まるでバービー人形並だ)

なんて対比に抱腹絶倒。覚えておいていつか使いたいなあ、こういう表現。

2. 人物描写

メインキャラだけでなく、サブキャラクタの人物描写がしっかりしているところも楽しいです。前述の少女「H」もそうですが、最初はただの嫌な女たらしに見えるクープとか、レイチェルのちょっとダメなお父さんや口うるさいお母さんまで、すごく生き生きしてるんですよ。メインカップルの周囲の人間が、単なる「恋の障害役」とか「応援役」みたいな役割だけの存在じゃなく、ちゃんと個性を持った人間として描かれているところがいいなあと思いました。

3. 伏線の利かせ方

細かい伏線がビシバシ決まっていくところが気持ちいいですよー。特にクライマックスのあれ(伏せます)には感動。

4. いらん同性愛嫌悪が出てこない

いや、わずかに偏見があるキャラクタもいることはいるんですよ。でも基本的には、「女同士だから」ということ自体をいちいち罪悪視して大騒ぎしたりしないんですよね、誰も。問題なのはレイチェルが既に結婚していて、しかも夫のヘックがとてもいい人だってことだけなんです。さすが同性カップルへの養子縁組の差別禁止が法制化されたり、小学校で同性愛について教えるプロジェクトが始まったりしている現代イギリスだけのことはあります。いまだに「同性同士はタブーに決まってんだろ!」なんて言って興奮してる日本の一部の百合好きさんたちも、少しはこういうラブストーリーを見たらどう?(見たところでそういう人たちは『日本とイギリスとは/百合とレズビアンとは違う!』とか言って後生大事にホモフォビアを抱え込んだままだろうなーという気はしますが)

まとめ

ユーモアのきいたキュートな恋愛映画でした。こんな映画が作られるなんて、今はいい時代だと思います。ちなみにレイチェルとルースのキスやデートのシーンもラブラブで可愛いので、そこを目当てに見るのもいいかもです。