石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『ムクナテンシタチ』(へっぽこくん、松文館)感想

ムクナテンシタチ (別冊エースファイブコミックス)ムクナテンシタチ (別冊エースファイブコミックス)
へっぽこくん

松文館 2001-08
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「たてせん」がエロい18禁ロリレズ漫画

少女同士のセックスのみが登場する18禁エロ漫画です。これまでレビューしてきたへっぽこくん氏の他のロリレズエロ漫画と違い、女性蔑視や同性愛への誤解がないのが大きな特徴。収録作「MR」(全8話)の姉妹百合も、「同じ瞳」(全3話)で描かれる絆も、キャラクタたちの心のつながりにきちんとウエイトが置かれていて、よかったです。ちなみにいつものぷに感のあるほっぺや、やたらとエロい「たてせん」が健在な絵柄もナイス。ロリ&百合属性な方はぜひどうぞ。

妙な蔑視はありません

当サイトでこれまでレビューしたへっぽこくん氏の作品は以下の3冊。

詳しくはそれぞれのレビューをお読みになっていただければわかりますが、これらの作品には「相手の意向を無視して欲望を満たそうとする」「同性愛と性同一障害を混同」「棒と穴主義」「『イヤよイヤよも好きのうち』という価値観を再生産」などの傾向があります。ラブラブ仲良しストーリーなお話でも、どこかに女性蔑視とセクマイへの誤解が通奏低音として流れている感じなんですよ。ところがこの『ムクナテンシタチ』は、ちょっと違うんです。

「MR」について

「MR」は姉妹百合エロ作品。序盤こそ「眠っている姉の身体に妹がいたずらをする」という、「相手の意思を尊重せずに一方的に欲望を満たす」パターンなのですが、そこからの展開がひと味違います。姉ももともと妹のことが好きだったことが判明し、ふたりは身体も心もつながっていくんです。電脳セックス(漫画版『攻殻機動隊』で素子がやっていたような)というアイディアもうまく生かされているし、後半でふたりを襲う危機と、それを乗り越えてのハッピーエンドもとてもよかった。身勝手な欲望よりも少女同士の愛と絆を重視した、ナイスなラブストーリーだと思います。ちなみにHシーンも「指と舌」多めで、決して男女セックスの模倣なんかではなかったです。

「同じ瞳」について

こちらはちょっとダークなお話。転入生「雪ちゃん」が意地悪な同級生(♀)たちに写真を撮られて脅され、しまいには犯され、止めようとした「みかちゃん」も捕まって襲われてしまうという筋立てです。非常に面白いのは、この作品ではへっぽこくん氏の他作品にあるような「イヤよイヤよも好きのうち」展開がないこと。不良たちのレイプは常に暴力として描かれ、雪ちゃんもみかちゃんもそれを本気で嫌がっています。だからこそ雪ちゃんの

私も…いつも、助けてって言ってたよ…

というモノローグ(p. 153)がよりいっそう胸に刺さり、それが最終ページの感動へとつながっていくわけです。「女なんてやってしまえばこっちのもの」的な、男性にとって都合のいい発想を安易に再生産せずにドラマを描き切っていくところがとてもいいと思います。

絵柄について

ぷにっとしたほっぺといい、「たてせん」といい、とことんロリでとことんエロティックです。同じ幼女絵でも、たとえば『WONDER SQUARE』のSOFTCHARM氏のような写実的な肉体表現とはまた違う、デフォルメされた漫画的な色っぽさがあると思います。

まとめ

女性蔑視もホモフォビアもなしで少女同士の愛とエロスを描いてみせた力作。いらん偏見が出て来ない分、安心して絵柄のエロ可愛さやストーリーの起伏などを楽しむことができます。ロリ属性のある百合好きさんにおすすめ。