石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『お熱くCOOLに教えてア・ゲ・ル』(さだこーじ、松文館)感想

お熱くcoolに教えてア・ゲ・ル (ガールズポップコレクション)

お熱くcoolに教えてア・ゲ・ル (ガールズポップコレクション)

「俺も混ぜてもらっていいッスか」シチュ多発なレズエロ(?)漫画

18禁指定されていないのが不思議なほど直接的なエロシーンが多い作品です。1編を除いて全ての作品に女性同士の絡みが登場するのですが、だからと言ってこれをレズビアン漫画と呼んでいいのかどうかは判断が難しいところ。というのは、途中から男性が「お、俺も混ぜてもらっていいッスか?」的に参入するパターンがとても多い上に、女性同士のセックスがどちらかというと「偶発的なもの」「本筋ではないもの」と位置づけられているからです。女性と女性の恋愛関係が見たい方には不向きな一冊であると言えましょう。

3P展開について

「Burn & Freeze」(全4話)、「実験しちゃうぞ」、「GOKKO!」には男性絡みの3P展開が登場します。これらの作品では女性キャラたちの間に恋愛感情はなく、女性同士のセックスは常に、

  • 冷え性の姉と体温がたまりやすい妹が「熱交換」するため(『Burn & Freeze』)
  • 催淫剤を飲んで興奮したため(『実験しちゃうぞ』)
  • 姉が妹をお仕置きするため(『GOKKO!』)

などの理由で合理化されています。いくら女性と女性とで絡んでいても、これをレズビアンエロスと呼ぶのはちょっと無理があるかも。

男性が絡まない♀♀関係について

「Flower Season」、「みんなで一緒に」では、女性同士の行為に男性は加担しません。ただし、どちらの作品でも主人公は常にヘテロセクシュアルであり、女性相手のセックスにはそれぞれ

  • 催淫効果のある花の香りのせいで(『Flower Season』)
  • 彼氏が忙しくてかまってくれないので欲求不満で(『みんなで一緒に』

などの言い訳がくっついています。どちらの作品でも主人公のカップリング相手こそガチっぽいのですが、主人公にとっては女同士のセックスは「あくまで偶発的なもの」「本筋ではないもの」という位置づけなんですよね。そこがかなり物足りない感じ。

まとめ

女性と女性の絡み自体はたくさん出てくるのですが、途中から男性が参加したり、♀♀セックスに常に何らかの言い訳がくっついたりしているところが今いち。レズビアン漫画として評価するなら、主人公が「この人が好き」とか「この人としたい」という熱情なしにただ女性と絡んでいるだけというのは、大きなマイナスポイントです。ただし純粋にエロ漫画としてとらえるなら、「3P展開」や「ノンケなのに同性と寝てしまう展開」がツボな方にはたまらん内容なのかもしれません。好みによって評価が大きく割れそうな作品だと思います。