石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『にじぷり(2)』(橘あゆん、双葉社)感想

にじぷり2(アクションコミックス)

にじぷり2(アクションコミックス)

ライトなコメディ路線で安定進行中

全寮制お嬢様学校が舞台の百合コメディの第2巻。1巻での意表をつく展開と比べるとわりあいおとなしやかな内容ですが、軽めのコメディとして一定の水準を保っていると思います。美羽が相変わらず麗香にベタ惚れなところがいいし、女のコ同士のキスや裸ハグの描写にあざとさがないところも好印象。美羽と麗香のメインカップルの他に、あきら(♀)と智哉(♂)の男女カップルが出てくるところも面白いと思いました。

さっくり笑えるギャグ路線です

お話を重くしすぎない仕掛けがうまい作品だと思います。たとえば麗香の政略結婚問題がまったくエグい方向にいかず、なぜか「女子高生にウケるおせんべい作り」へとなだれ込んでいくあたりとか。あるいは、麗香の父を紋切り型の因業親父にしないあたりとか。1巻の「テンプレお姉さま百合と見せかけて実はぜんぜん違う」という展開ほどの衝撃はないものの、さっくり笑えるライトなギャグ路線がとても楽しかったです。

美羽と麗香の関係について

美羽の燃え上がる恋心は相変わらずなんですが、その表現がよくあるウジウジドキドキ系列でも記号的な鼻血ブー系列でもないところがいいなと思いました。いやもちろんドキドキはしてるんですが、あふれ返る恋情に思わず「せんぱーいっっ」と叫びながらスイカをむさぼり食うの図(p. 113)なんてのが実に新鮮でいいんですよ。ひとりで燃え狂っているだけじゃなくて、麗香をよく見て常に気遣っているところもナイス。

ちなみにこの巻にはこのふたりの唇ちゅーや全裸ハグなどの場面が登場しますが、そこに「オカズでござい」的な安っぽさが漂っていないところにほっとしました。どちらも絵的な色っぽさと、「片方が平常心でもう片方がドギマギ」という心理面のギャップとのバランス感覚が絶妙だと思います。

あきらと智哉の関係について

第12話はドMな新キャラ・智哉とドSなあきらによる男女ラブコメ。きれいなお姉さんにいじめられたい男子必見の内容だと思います。百合漫画にヘテロ恋愛を登場させることには賛否両論ありそうですが、あたしは大変楽しく読みました。全寮制お嬢様女子校ものでありながら、「女のコだけの秘密の花園☆」チックなお話にせずに平気でこうしたエピソードを入れてくるところが実に面白いと思います。

まとめ

さくっと読める楽しい百合コメディでした。美羽から麗香へのほとばしる情熱も、新キャラによるヘテロ恋愛エピソードもどちらもよかったです。嫌味のない百合ギャグ漫画をお探しの方におすすめ。