石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

『ゆるゆり(5~7)』(なもり、一迅社)感想

ゆるゆり (5)巻 (IDコミックス 百合姫コミックス)

ゆるゆり (5)巻 (IDコミックス 百合姫コミックス)

ゆるゆり(6) (IDコミックス 百合姫コミックス)

ゆるゆり(6) (IDコミックス 百合姫コミックス)

ゆるゆり(7) (IDコミックス 百合姫コミックス)

ゆるゆり(7) (IDコミックス 百合姫コミックス)

予定調和を拒否する軽妙百合コメディ

思えばこの5巻が発売された2011年の夏にアニメ化されたんですよね、ゆるゆり。同時期に立て続けに6~7巻が発売され、一気に人気爆発したような記憶があります。そのあたりからかなり特殊なファン層も増えたようなので、思えば偶然この年からしばらくレビュー書きを休止してたのは自分にとってはラッキーだったかも。

レビュー書き再開を機に今回1巻から7巻まで通読してみて思ったのが、これってつくづく不思議な立ち位置にある漫画だということ。タイトルにこそ「ゆり」の2文字が入っているけれども、実はお話の中には片想いキャラと百合妄想癖のあるキャラがいるのみで、あとは何気ない日常の中のかすかに百合っぽい瞬間を切り取って見せていくだけだったりします。そうした百合っぽい場面に「ひょっとしてこの“カップリング”が今後こう発展するのでは」と鼻息を荒くするファンもいると思うのですが、『ゆるゆり』はそうした予定調和を拒否し、常に思いもよらない方向へと軽やかに進んで行きます。

思うに、この洒脱さというか平淡さこそが『ゆるゆり』の最大の魅力なんじゃないかな。この5~7巻も、危険な姉妹愛やら手つなぎやら頭なでなでやら微笑ましい嫉妬やらと「それっぽい」場面は忘れないわりに、なんというか、常に平熱ですよね。そう思ってみると、本作内でいわゆる百合萌えによる興奮が池田姉妹というキャラによって絶えずメタ視され続けているところは、きわめて象徴的です。このような仕掛けの作用もあって、『ゆるゆり』は、もはやカップリングという概念すら笑いのめす枯淡の境地に達してると思うんですよね。そのあまりに独特な「我が道を行く」っぷりこそがおもしろい作品だと思います。

ちなみに5~7巻であたしがもっともツボだったのは百合ネタでも妄想ネタでもなく、7巻のエアコンの電池ネタのオチ部分でございました。別に両想い展開とかエロ展開とかなくていい(これまでもないし、これからもないと思いますが)ッスよ。『ゆるゆり』は、こういうところがいいんですよ。

まとめ

他の追随を許さぬ独自路線を飄々と進んでいく百合コメディ。平淡で平静で平熱なところが特徴的。と書くと、上で述べたような特殊なファン層の方々が平淡と平坦を取り違えて「この作品を侮辱するなああー!」と突撃してきそうで怖いんですが、まず辞書をひいてね、お願い。