石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

スーパーモデルがトランスジェンダー女性としてカミングアウト

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中性的な美貌で有名なスーパーモデル、アンドレヤ・ペジック(Andreja Pejic、旧名はアンドレイ・ペジック(Andrej Pejic))が、2014年7月24日、トランスジェンダー女性であることをカミングアウトしました。

詳細は以下。

Andrej Pejic Now Andreja After Sex Reassignment Surgery - Health, Plastic Surgery : People.com

アンドレヤ(『アンドレア』とも読めるかも?)・ペジックはこんな人です。


Andrej Pejic on Sunday Night - YouTube

彼女はボスニア・ヘルツェゴビナ生まれのオーストラリア人。2011年のデビュー後、ジャン・ポール=ゴルチエやマーク・ジェイコブスの女性用の服でランウェイを歩く男性スーパーモデルとして活躍してきました。2014年7月24日、People.comStyle.comEntertainment Tonightで、トランスジェンダー女性であることを公表。以下、People.comより引用します。

「わたしの話を世に公開するのは、自分には社会的責任があると思うからです」22歳のペジックは、PEOPLEの独占取材で話している。「オープンにすることで、こういうことが以前ほど問題にならなくなればと願っています」

"I want to share my story with the world because I think I have a social responsibility," Pejic, 22, tells PEOPLE exclusively. "I hope that by being open about this, it becomes less of an issue."

アンドレヤは小さい頃から女の子になりたくて、セルビアで過ごした幼少期にはお母さんのスカートをはいてバレリーナのようにくるくる回ったりしていたのだそうです。しかし、8歳でオーストラリアに移住してから、事態は一変。「きょうだいや学校友達からの社会的メッセージ」を受けて、大好きな人形やスカートに別れを告げなければならなくなったとのこと。

それ以降は男の子として生活していた彼女ですが、13歳のときGoogleで「性転換」("sex change")を検索したことで転機が訪れました。しかし、家族の理解こそ得られたものの、オーストラリアで未成年が性別移行するには長々とした法定手続きが必要。お金もかかります。そこでまず第2次性徴遮断薬(puberty blockers)を使用しつつ「アンドレイ」として高校を卒業し、それから性別を変えて、男性だった過去を忘れようと考えていたとのこと。

ところがその後17歳にしてモデルエージェンシーにスカウトされたため、回り道をすることになったわけです。ジェンダーにとらわれないキャリアを形成したことは誇りに思っているそうですが、1年半ほど前、自分の最大の夢は「自分の身体で快適に暮らすこと」だと考え、手術をともなう性別移行に踏み切ることに。なお、手術の進展具合に関しては、ラヴァーン・コックスジャネット・モックと同じく、公の場で自分の性器について論じるよりトランスのコミュニティ内での活動に専念したいとのこと。

FacebookInstagramに本人が写真付きで載せたメッセージを一部訳してみますよ。

最近性別移行したからと言って、それで自分が別の人間になったとは思いたくありません。同じ人物で、何ひとつ変わらず、ただ性別が違うだけ。みんながそれを理解してくれるよう願っています。

わたしはまた、世の中の「男/女」の二元論に当てはまらない若者たちすべてに手を差し伸べたいとも思っています。大変だってわかるよ、わたしもそうだった、でも自分のアイデンティティー通りに受け入れられる権利があるのだということを忘れないで――あなたたちはこの星の他のどの人とも同じ敬意を受けるに値するのだから。

I like to think that my recent transition hasn't made me into a different individual. Same person, no difference at all just a different sex I hope you can all understand that.

I would also like to to reach out to all young gender non-conforming youth out there: I know it's hard, I've been there, but remember it’s your right to be accepted as what you identify with---you deserve the same respect as any other human being on this planet.

長らくセクシュアリティについていろんな噂や憶測が飛び交っていたアンドレヤですが、そうか、トランスジェンダーだったのねえ。

なお、彼女が以前使っていた「アンドレイ」(Andrej)というファーストネームは、キリスト教正教徒の、「間違いなく男性の名前」なんだそうです。しかし、"j"も含めて自分だからということで、敢えて女性名でも"j"の字を残し、あまり一般的でない「アンドレヤ」("Andreja")という名前にしたとのこと。このあたりにも、自分は以前と変わらぬ人間だという彼女の主張が込められているのでしょうね。

米ハフィントンポストが指摘しているように、モデル業界にはカルメン・カレラやジーナ・ロセロ、アイシス・キングなどトランスジェンダー女性の先駆者が既に複数います。ジーナ・ロセロは、日本語版TEDの「私がカミングアウトすべき理由」でも有名ですよね。アンドレヤ・ペジックもこれらの先人に負けず、今まで以上にバリバリ活躍しまくってくれるといいなと思います。