石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

粉ミルク会社のCM、ゲイ・ダッドやレズビアン・マムが登場するのはいいんだけど……

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米国の粉ミルクブランド「Similac」が2015年1月にリリースしたCMが物議をかもしています。ジェンダーや性的指向を問わずさまざまな親が出てくるコミカルな内容なのですが、最後に出てくるキャッチコピーがひどいんです。

詳細は以下。

New Similac Ad Welcomes Gay Daddies To "The Sisterhood of Motherhood"

動画はこちら。

このCMの舞台は昼間の公園。赤ちゃんを連れたさまざまな親たちがいます。ストーリーは、「ライフスタイルや育児方法の違いで親たちがラップバトルのごとく対立し合う中、思わぬアクシデントが起こり……」というもの。ユーモアもあればハラハラ感もあり、納得のオチにつなげていく手腕もみごとで、CM自体はとてもよくできていると思います。

特にいいのは、この親たちの中に、あたりまえのように赤ちゃん連れの父親や同性カップルが登場するところ。たとえば0:23でこれ見よがしに肩を組む女性ふたりは、どう考えてもカップル。その直前に出てくる、赤ちゃん連れパパたちの後列に立っている男性ふたりも、カップルと解釈することができます。育児は異性愛者の女性だけがすることではありませんから、これはなかなかフェアな描き方なのでは。

ただね。最後の最後に画面いっぱいに出てくるキャッチコピーがひどいんですわ。

母性のシスターフッドにようこそ。

“Welcome to the Sisterhood of Motherhood.

ここまできてパパたちは(ヘテロパパもゲイパパも)完全無視って、どういうことよ!? 2分半もかけて、「親同士で立場や考え方が違っても、いちばん大事なことはみな同じ。そこで連帯できるはず」というメッセージを打ち出しておいて、まさか最後で「育児は女だけのものでーす」とベロを出すとは。CM作った人とコピーを書いた人の間で意思疎通がなされていなかったんでしょうかねえ。

これを見て思ったのですが、子供がいるゲイ男性(または、同性パートナーと共に子育てしているバイセクシュアル男性)というのは、性的指向云々以前に、そもそも男性であるがゆえに育児の場にいないことにされてしまいやすいのかも。「多様な家族像」なるものが叫ばれて久しい昨今ですが、まだまだ課題は山積みなんでしょうねきっと。