石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

バイセクシュアル女性であるとはどういうことか:コスモポリタンが匿名3者にインタビュー

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米女性誌「コスモポリタン」オンライン版に掲載された、「両性愛者女性であるということは、本当はどういうことなのか」と題する匿名インタビュー記事がおもしろいです。

詳細は以下。

What It's Really Like to Be a Bisexual Woman

これは28歳、21歳、22歳の匿名バイセクシュアル女性に対する3者同時インタビューの結果をまとめたもの。計13の質問があり、日本でよく聞く話も多くてとても興味深いです。目についた項目をダイジェストでちょっとだけ訳してみると、こんな感じ。

  • バイセクシュアルにまつわる最大の作り話とは何だと思いますか。
    • 女性A「バイセクシュアルは欲が深いのだとか、男の気を引きたがっているのだとかいうこと」
    • 女性B「バイセクシュアルはただ混乱しているだけで、異性愛者か同性愛者のチェックボックスのどちらかに印をつけなければならないということ」
    • 女性C「バイセクシュアルは特に乱交好きだという説。男性と女性が好きだからと言って、通りで会う人すべてとヤりたいと思うわけじゃありません」

……この手の作り話、日本でも流通しまくってますよね。しかしこれってたとえばの話、「『眼鏡をかけた人とそうじゃない人、恋愛対象はどっち?』と聞かれて『いや別にどちらも恋愛対象になりますが』と答えたら最後、『眼鏡男子の気を引きたくてウソをついているのだ!』、『本当はどっちか一方だけが好きなはず!』、『眼鏡をかけた人と眼鏡なしの人の両方と乱交したいんだな!?』などと決めつけられる」ようなもの。むちゃくちゃにもほどがあります。

で、そんなむちゃくちゃな作り話が横行する中、より良きバイセクシュアル・アライになるためにはどうすればよいかという話も元記事にありました。

  • バイセクシュアルでない人(異性愛者や同性愛者など)がより良いアライになるにはどうすればいいですか。
    • 女性A「異性と恋愛関係にある人が実はクィアでも驚かないで。彼ら・彼女らのセクシュアリティーの、その部分を受け入れてあげて」
    • 女性B「何よりもまず、『それじゃ今は同性愛者なの?』とか、『今は異性愛者?』とか聞くのをやめて。何の役にも立たないし、聞かれた人を不快にさせるから。自然体にかまえて、友達にもかれこれ言わずに自然体でいさせてあげて」
    • 女性C「時間をかけて相手を知り、考え方を理解しようと努めれば、間違った決めつけで批判したり傷つけたりしにくくなります」

バイセクシュアル女性の友人が上記Aさんと同じようなことを言っていたのを思い出します。彼女は男性と結婚していて子どももいるんですが、それだけで異性愛者だと決めてかかられるのが嫌だと言っていました。似たようなケースとして、プライド・イベントに男性パートナーと参加したバイセクシュアル女性が、周囲にストレート・アライだと受け取られてしまうという話もよく聞きます。性的指向とは「その時つきあっている相手のジェンダー」を指すものではないはずなのに、モノセクシュアルの人は常にそこを混同しがち。多様性だレインボーだというのなら、まずLGBTコミュニティー内のこうした誤解をぶっ壊す必要があるのでは。

他に、こんな項目もよかったです。

  • 「自分はバイセクシュアルかも」と思っているコスモポリタン読者へのアドバイスはありますか。
    • 女性A「3Pする義務はありません。したくないことは何ひとつしないで。それから、『経験豊か』じゃないこととかを気に病みすぎないで」
    • 女性B「探検してみよう。陳腐に聞こえるかもしれないけど、まじで。わたしはそれまで慣れ親しんだ恋愛関係とは違うという理由で、今の彼女を2年も避けてました(つき合い出すまで2年もかかりました)。今はすごくいい関係にあり、これ以上ないほど幸せです」
    • 女性C「両性愛はとてもわかりにくかったり、受け入れにくかったりします。こんなのサイテーだ、トンネルの向こうに光なんてないんだと思ってしまうこともあるかも。でも光はあるんです。自分は一人じゃないとわかって」

「先達はあらまほしきことなり」と古の人は書いたけれど、若い子たちが「コスモ」のようなファッション誌でこうした先達のアドバイスに触れられるというのはとてもとても大事なことだと思います。こうした企画、もっと増えるといいんじゃないかなー。