石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

「女々しいホモの飲み物はなし」掲示のバー店主謝罪

melbourne bitter
melbourne bitter / alvinchanphotography

オーストラリアのバー店主が、店内の掲示板に「女々しいホモ("poofter")の飲み物なし」と表示していたことを批判され、謝罪しました。

詳細は以下。

Bar owner apologises for homophobic ‘poofter’ sign · PinkNews

問題の掲示はこんなです。

1行目を訳すと、「豆乳なし。低カロリードリンクなし。お茶なし」。問題はいちばん下の行で、「女々しいホモの飲み物なし」。

このバーは「ハンサム・スティーブズ・ハウス・オブ・リフレッシュメント」(Handsome Steve’s House of Refreshment)といい、メルボルンにあります。以下、友人たちと同店を訪れて上記の掲示に驚いたスティーブン・ウェイクフィールド(Stephen Wakefield)さんの弁。

「こんなものを目にするのは、『おいおい、もう1995年じゃないんだよ』って感じでした」

“To see something like that, come on man, this isn’t 1995,”

「友達同士でこういうジョークを言うのはいいけど、看板でそれをやるのはちょっと失礼です」

“You can have those jokes with your friends, but to be on a sign is a bit rude.”

ウェイクフィールドさんたちはバーのスタッフにこの看板を外してくれるよう頼んだものの拒否され、しまいに口論になって店を飛び出したとのこと。その後この掲示の写真がSNSにアップロードされたことから批判が相次ぎ、店主のスティーブ・ミラー(Steve Miller)氏は同店のFacebookアカウントで以下のような謝罪文を発表しました。

わたしが引き起こしたいかなる無礼についても無条件で謝罪いたします。このことについて話したい方は、どうぞ当店までいらしてください。金曜日から日曜日まで店におります。どちらさまも歓迎いたします。

I unconditionally apologise for any offence I have caused. If anyone would like to talk to me about it, please come down to the house of refreshment. I'm here Friday - Sunday. All welcome.

この手の問題が難しいのは、「どこまでを内輪向けの楽しいジョークとみなすか」ということだと思います。ミラー氏によれば、くだんの表示は7年間前からあり、客(同性愛者の客を含めて)からは「とても面白い("hilarious")」と言われていたんだそうです。しかし"poofter"というのはオックスフォードの辞書でもはっきり「侮辱的」とされている俗語であり、男性同性愛者にとっては道端で知らない人からいきなり投げつけられる罵り言葉でもあります。それをいきなり人目につくところに表示して、どんな人にでも即「面白い」とだけ思ってもらおうというのは無理だよね。

お店の常連を名乗る女性の方が、Facebookでこんなコメントをしていたのが印象的でした。

店の常連であり、この掲示を何も言わずに見てきたひとりとして――そしてまた、自分のことばづかいや特権や分け隔てのなさに注意しているつもりだった人々のひとりとして言わせてください。あの看板はことばの選択がお粗末で、スティーブの人となりをほとんど反映していないということがわかりました。悪趣味な表記だったけれど、このお店でのお客のもてなしぶりを表したものではないし、悪意あっての表現ではなかったことは確かです。誰とであれ、このことについて話し合うことができて、嬉しく思います。イーヴァ

As a regular patron and someone who has read this sign many times without comment - and also would regard themselves as someone who is mindful of their language/privilege/inclusivity to all I wanted to put forward myself as someone who recognises the poor choice of this signage but also how little it reflects Steve as a person. In poor taste but not a representation of how people are treated in this space and certainly not maliciously intended. Happy to discuss this with anyone. Eva

日本だったら果たしてこんなコメントがつくだろうかとしばし考えてしまいました。「悪気はなかったのに批判するなんてひどい」、「そんなことでいちいち怒るから差別されるんだ」、「嫌ならよその店で飲め」、「表現の自(ry」てなコメント続出じゃないかなあ。常連客のみならず、一度もこのお店に行ったことがない人からも。

この話にはとても感じのよいオチがつきます。上記のウェイクフィールドさんと友達が、本当に店主と話をしに行き、「長時間におよぶ、深くすばらしい話し合い」を経て完全に和解してるんです。彼らは店主と仲良く肩を組んで撮った写真をFacebookに載せ、以下のような文章を添えています。

ハンサム・スティーブズ・ハウス・オブ・リフレッシュメントのメニュー上のジョークは金曜日の夜に取り下げられ、土曜日に謝罪がなされました。ぼくたちが目指していたゴールはこれであり、喜んで謝罪を受け入れます。この一件の余波はまるで野獣のようで、ぼくたち以上に大きな影響を巻き起こしていますが、自分たちはリンチする暴徒を作り出そうなどと思ったことは一度もありません。実際、(怒っている人たちには)深呼吸して成功の甘い香りを味わってほしいと思います。看板は取り下げられたのですから。

スティーブと過ごして、あることが明らかになりました。彼はパンクロック野郎だってこと! 彼はまた、とても優しい聞き上手な人でもあります。一緒に話したり、笑ったり、泣きさえした後、ぼくらは意見の一致に至りました。スティーブはまったく謙虚で分別のある人で、ぼくらは週末にビールを飲みに集まる予定です。誰でも参加してください。争いもケンカもなしで、笑いとビールとロックンロールの週末になると思います。

The joke that was on the menu at Handsome Steve's House of Refreshment was taken down on Friday night and his apology was made on Saturday. Which was our goal and we’re more than happy to accept. The after effect was something of a wild beast and it has impacted more than us and more people than most us realise. It was never our intention to create a lynching mob and in fact we ask that you breathe and take in that sweet smell of success, the sign is down.

After spending time with Steve, one thing is clear. He’s punk rock! He also is very supportive and he listens. After talking and laughing and even crying we are all on the very same page. Steve is a completely humble and reasonable person and we are going to meet up for beers over the weekend, which I open this invite to everyone. There will be no argument, no fights but laughter, beers and rock’n’roll.

理想的な結末だったのではないでしょうか。近くだったらこのお店にビール飲みに行くのにな。