石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

レズビアンカップル、スーパーでキスしたため警官から暴力をふるわれ訴訟を起こす

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ハワイで休暇を過ごしていたレズビアンカップルが、スーパーで手をつないだりキスしたりしていたために警官から不当に暴力をふるわれ、逮捕までされたとして訴訟を起こしています。

詳細は以下。

In lawsuit, lesbian couple alleges they were arrested in Pupukea - Hawaii News Now - KGMB and KHNL

訴状は以下で読むことができます。

このカップル、コートニー・ウィルソン(Courtney Wilson)さんとテイラー・ゲレロ( Taylor Guerrero)さんは2015年3月3日、休暇で訪れたハワイのスーパーマーケット「フードランド ププケア」で買い物をしていました。ふたりが店内で手をつないだり頬にキスしたりしていると、同じ店で買い物をしていた警察官、ボビー・ハリソン(Bobby Harrison)がそれを見て、大声で「おいおい、ここでそんなことをするな」と叫び、店から追い出すと言って脅してきたのだそうです。

ハリソンはその後店長を連れてきて、ウィルソンさんたちが不法侵入したとする書類を書くよう要求。さらに、レジに並んでいたウィルソンさんたちを列から出させようとしました。そこでウィルソンさんが携帯を出し、911(日本の110番に該当)に電話し始めると、ハリソンは彼女の腕をつかみ、間に割って入ろうとしたゲレロさんともども地面に投げ倒したとのこと。ウィルソンさんはハリソンに顔面を殴られ、鼻に裂傷を負いました。

ハリソンはその後、店の従業員に命じて結束バンドを探させ、ふたりを店の地下室に拘束したのち、「警官への暴行」容疑で逮捕。このカップルは約2日間留置され、保釈金(1人につき12000ドル)の支払いで所持金を使い果たしてオアフ島から出られなくなり、公園での野宿を余儀なくされたとのこと。

ちなみにこの警察官、この日は制服で買い物をしてはいたけれど、勤務中ではなかったんだそうです。つまり彼は非番中に、単に人前で頬にキスしていただけの市民を脅して暴力をふるい、逮捕までしたというわけ。ウィルソンさんたちの容疑は5ヶ月後に取り下げられたとのことですが、彼女らはハリソンのしたことは差別的意図に基づくものであるとし、物理的損害と精神的苦痛の賠償を求めて裁判を起こしました。

このように同性カップルがPDA("public display of affection"、公共の場所での愛情表現)を問題視されて攻撃された事件は、枚挙にいとまがありません。うちのサイトで紹介したケースだと、たとえばこのあたりでしょうか。

もっと最近の例だと、バーで軽いキスをかわしたゲイカップルが追い出されたり、『Lの世界』の女優レイシャ・ヘイリー(Leisha Hailey)が、やはりキスが原因でサウスウエスト航空の飛行機から下ろされたなんてこともありました。どのケースも、異性同士なら気にも留められないようなささいな愛情表現(軽いキスやハグなど)をわいせつ扱いされて排除されるというのがお決まりのパターンです。

インディアナ大学のロング・ドーン(Long Doan)氏らが米国人1000人を対象としておこなった調査では、異性愛者の約7割が同性カップルの遺産相続の権利を認めた一方、ゲイ男性が公共の場で頬にキスすることを是認する異性愛者は55パーセントしかいなかったとされています。ちなみに「異性同士のカップルが公共の場で頬にキスすること」ならば、95パーセントが是認したとのこと。つまり、明らかな二重基準があるんです。これが解消されない限り、いくら相続や保険などの法的権利を平等にしたところで、トラブルは続くでしょうね。ひょっとしたら、同性婚論争の次は、同性カップルはキスの権利を求めて争うことになるのかもしれません。

KHON2によれば、ウィルソンさんはこの訴訟によって前例を作ることで、将来正しいことのために立ち上がる人を助けたいと話しているとのこと。判決がどうなるのか、注意して見守りたいと思います。