「バスで女性同士のカップルに嫌がらせと暴行 4人逮捕 英ロンドン - 石壁に百合の花咲く」の続報。2019年6月8日、ロンドン市警が、強盗および悪質な故意による重傷害の疑いで5人目の容疑者を逮捕したと発表しました。
詳細は以下。
この事件が起こったのは2019年5月30日の深夜2時半ごろ。デートの帰りにカムデン・タウン方面行きのバスに乗っていた20代のレズビアン女性同士の*1カップル、Melania GeymonatさんとChrisさんに、複数のティーンエイジャーの男らがからみ、激しく殴打して所持品を強奪しました。男らはMelaniaさんらに貝合わせ(scissors)がどうのこうのと言って体位の話を持ちかけたり、自分たちの目の前でキスをしてみせろと要求したり、物を投げつけたりしたあげく、暴力をふるったとのこと。
スコットランドヤードは6月7日、15歳から18歳の男4人を強盗および悪質な故意による重傷害(robbery and aggravated GBH)の疑いで逮捕しました。そして8日の午前中、新たに16歳の少年を同じ容疑で逮捕したとのこと。計5人の容疑者は保釈され、現在警察はこの事件関連で他の容疑者を探してはいないそうです。
ところで、事件直後にこのニュースをまずスペイン語の報道で見つけた(Melaniaさんはウルグアイ人なので、ウルグアイのみならずスペイン語圏全般で大きなニュースになっています)時点では、「場所が英国だから英国では話題になるんだろうけど、日本のメディアにはほぼ取り上げられないのでは?」と思ってたんですよ実は。それが意外と大々的に報道されているようでびっくりです。「レズビアンが」、「キスを強要されて断って」暴力をふるわれたという要素が、平均的な日本人でも興味を持ちやすいとでも思われたんでしょうかね?
とにもかくにも、今回の事件の日本語ニュースだけを見て「英国にこんなホモフォビックな事件が」とショックを受けておられるナイーブな方や、「同性婚なんか認めたせいでこんな事件が起こったのだ」などと想像の翼を明後日の方向に広げておられるユニークな方のために、これまで英国で起こったホモフォビックな暴力事件で、うちのブログで紹介したもののいくつかを以下に貼っておきますね。
- 英ブライトンでレズビアンカップルが暴力をふるわれる - みやきち日記(2009年)
- 英国のゲイ男性、トラファルガー広場でティーンエイジャー3人に殴られ死亡 - みやきち日記(2009年)
- 英国の18歳女性、ホモフォビックな襲撃で怪我 - みやきち日記(2009年)
- 英国プリマスで女性2人がホモフォビックな暴力を受け負傷 - みやきち日記(2009年)
- 英国の10代少女2名、『時計仕掛けのオレンジ』風にゲイ男性を殺害 - みやきち日記(2010年)
- レズビアンカップルに重傷を負わせた男に懲役刑 英国 - 今週の未紹介LGBTニュース(2017年10月22日) - 石壁に百合の花咲く(2017年)
- ゲイ男性の顔にガラスのコップを叩きつけた男に懲役2年 - 石壁に百合の花咲く(2017年)
- ホモフォビックな酸攻撃で9人懲役刑 英ロンドン - 石壁に百合の花咲く(2018年)
- ホモフォビックな襲撃で腐食性物質かける 英ロンドン - 石壁に百合の花咲く(2019年)
英国で同性婚ができるようになったのは2014年からですが、その前だろうと後だろうとホモフォビックな暴力事件は起こり続けています。なぜか日本語圏ではたいして報道されてこなかっただけで、別に珍しいことじゃないんです。あと、このニュースが話題になったからとさっそく「犯人は〇〇(←ここに無関係なマイノリティーグループが入る)」という根も葉もないデマを流している人たちは恥を知れ。人が憎悪によって殴られた事件を、さらに別の憎悪のためにぬけぬけと利用するな。
*1:2019年6月16日追記:初期報道ではこのふたりは「レズビアン」と呼ばれていましたが、後日ふたりのうちのひとり(Chrisさん)が自分はバクセクシュアルだと明言しています。