石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

ブラジルのゲイ大学生、卒業式にドレスとヒールで出席し大学のホモフォビアを告発

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ブラジルの航空技術大学(Instituto Tecnológico da Aeronáutica/ITA)で同性愛嫌悪的ないじめを受けていたゲイ生徒が、卒業式に真っ赤なドレスとハイヒールを着用して出席し、同大学のホモフォビアを批判しました。

詳細は以下。

Gay student turns up to graduation in dress and heels after years of bullying | Metro News

式の様子や、本人による談話の映像はこちら。



この男性Talles de Oliveira Fariaさん*1(24)は、12歳のときからITAに入るのが夢だったのだそうです。ITAはブラジル最難関の工科大学で、Tallesさんはここに入れば将来が開けると考えていたとのこと。しかしながら、実際に同大学に入学した彼を待ち受けていたのは、ホモフォビックな嘲笑やいじめ、嫌がらせでした。

「わたしは侮辱され、笑われ、無視されました」

Tallesによれば、彼の在学中、ある講師は彼をあざけってこう言いさえしたそうだ。「悲しい電子などというものは存在しない。心理的な問題を抱えた電子もない。ゲイの電子もない」。

ある男性軍人(訳注:ITAはブラジル空軍との結びつきの強い大学です)にはこう言われたとTallesは言う。「もし自分がおまえだったら、自殺するよ」。

24歳のTallesは付け加えた。「無視や、ジョークや、性的なありさまを表明しようとした者への排除を通じて、ホモフォビアが見せつけられているのです」。

‘They insulted me, they laughed at me and tried to make me invisible.’

Talles claimed that during his time at the school, one lecturer even sneered at him and said: ‘There are no sad electrons, there are no electrons with psychological problems, there are no gay electrons.’ He claims one military man told him: ‘If I were you I’d kill myself.’

The 24-year-old added: ‘Homophobia is shown through invisibility, jokes and the expulsion of those who wanted to show their sexual condition.

学内のこのような状況に対する抗議として、2016年12月、Tallesさんは卒業式に真っ赤なドレスとハイヒールを着用して出席したのでした。よく見るとドレスの胸と背中にはメッセージが書かれています。胸側には大学名と「ホモフォビア(Homofobia)」「人種差別(Racismo)」などの文字が見てとれ、背中側の文章は、たぶんこう。


「(ITAは)マチスモと、偽物の実力主義と、エリート主義と、ホモフォビアにおいて卓越」

"Excelência em machismo, falsa meritocracia, elitismo, homofobia"

Política e Brasilによれば、Tallesさんはこれまでもホモフォビアに対して黙っていたわけではなく、学内のLGBT団体で積極的に活動してきたのだそうです。国際反ホモフォビアの日にはドラァグ姿でデモンストレーションをして、その写真をFacebookに投稿したりもしていたとのこと。Talleaさんはまた、ITAについて、学生を全員異性愛者だと決めつけていること、染髪や化粧などに関して男子と女子とで違うルールが適用されていること、女々しいとされた男子学生が嘲笑されていること、LGBTとみなされた人を侮辱するジョークが言われていることなど、計20の項目を挙げてFacebookで批判したりもしています。

難関大学が旧弊な差別の温床になっているというのは日本でもよくあることですが、ひょっとしたらブラジルでも同じような状況なんでしょうかねえ。ちなみに同大学は今回の卒業式の件を受けて、「ITAでは学生を性的指向、ジェンダー、社会的地位、信条または人種によって差別していない」とする声明を出しているそうですが、差別する側はたいてい「これは差別ではない」とか、「『みんな』が笑える楽しいジョークなのだ」とかなんとか思い込んでいるものなので、あんまりあてにできたものでもないと思います。Tallesさんの勇気を心からたたえつつ(¡Enhorabuena!)、同大学の今後の進歩に期待したいです。

*1:Metro Newsの表記では"Faira"とされていますが、ポルトガル語圏の報道では"Faria"となっているので、ここでは"Faria"で統一します