石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『ストレンジャー・シングス』バーブ役のシャノン・パーサーが両性愛者であることを公表

ファンコPOPテレビ:ストレンジャー・シングス - バーブ/Barb [並行輸入品]

Netflixドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』でデビューして大人気となった19歳の米女優シャノン・パーサー(Shannon Purser)が、Twitterで自分の両性愛について公表しています。

詳細は以下。

The Actor Who Played Barb On "Stranger Things" Opened Up About Her Bisexuality On Twitter

まず2017年4月11日、シャノンはこんなツイートをしています。

訳:「自分のセクシュアリティと折り合いをつけるというのは、一連のプロセス。そのうちなんとかなる。もっと早くそのことを知っていられたらよかったのに」。

訳:「セクシュアリティのことで、他にもっと早く知っていたらと思うのは、慎重に事を進めるということ。セクシュアリティというのは、ある人がどんな人であるかを、その人が望む分だけ明らかにするものだから」。

訳:「でも、なんとかなる。みんななんとかなる。いや、すばらしい人間になるってわけじゃないけど」。

で、その後、4月19日に改めて画像でこんな長文を投稿。

まず出だしの部分だけ訳してみると、こんな感じです。

いつもはこういうことはしないのですが、今が個人的なことを言うのにちょうどいいときだと思います。つい最近、バイセクシュアルとして家族と友人にカミングアウトしました。これはまだ自分の中で処理し、理解しようとしていることであって、あまりこのことについて語りすぎたくはないと思います。わたしはLGBTコミュニティにおいてほんとうにド新人なんです。

つまりこれが、シャノン・パーサーの、パブリックな場での初カミングアウトということになるみたい。『ストレンジャー・シングス』は全部見たし、バーブも大好きなキャラなんですが、シャノンがバイセクシュアルだとは気づかなかったわ。あたしのゲイダーも、まだまだか。

さて、画像の文章のここから先、「クィアベイティング("queerbaiting")」や「ベロニカのシッパー("beronica shippers")」などに関するくだりは、このツイートだけではちょっと意味がわかりにくいかも。これは少し前、シャノンが、自身も出演しているドラマ『リバーデイル』のベティとヴェロニカという女性キャラ同士のカップリング(通称『ベロニカ』)のファンたちに苦言を呈して批判されたことに対する話です。『リバーデイル』では配信開始前からベティとヴェロニカのキスシーンが話題にされていたのに、いざシーズンが始まってみるとクィアな話ではなかったため、クィアベイティング(ドラマなどで、いかにもクィアなロマンスが出てきそうな描写で視聴者を釣り、結局肝心のロマンスは描かないまま終わるというパターンのこと)だとして怒っていた人がたくさんいたんですよ。シャノンは4月18日にTwitterでこうしたファンたちを「怒れる熱狂的ファン("angry stan")」と呼んで、「カップリングの応援はすばらしいことだけれど、自分の推すカップリングを推さない人に対してひどい態度をとるのはすばらしくない」などと書いていたとのこと(現在これらのツイートは削除されています)。それで『リバーデイル』のファンダムから反発が起きて、その後発表されたのがこの画像の文章だったというわけ。さて、ここまで踏まえた上で、後半をざっと訳しておきます。

今日まで、『クィアベイティング』ということばは一度たりとも聞いたことがありませんでした。それはそれとして、わたしは誰とも仲たがいしたいと思っていませんし、わたしのツイートは配慮に欠けるものでした。わたしはベロニカのシッパー全員について言及したわけではなく、わたしに対して個人的にひどいことをした人の話をしたのですが、ああいうことを言うのは賢いことでも親切なことでもありませんでした。特に、愛を語れといつも教えられてきたクリスチャンとして、自分で自分に失望しています。親切に連絡してくれて、クィアベイティングについてどう思うか教えてくれたみなさん、ありがとうございます。傷ついたすべての方々に謝罪します。愛をこめて、シャノン

自分自身がバイセクシュアルで、しかもショウビジネスの世界にいて「クィアベイティング」を知らなかったなんてことがあるのかとちょっと驚きましたが、19歳ならそれもあり得るかもしれないとも思います。何はともあれ、これでバイセクシュアルとしてカミングアウトしているセレブリティがまたひとり増えたのはいいことなんじゃないかな。 J. Walter Thompson Innovation Groupの調査では、Z世代(13~20歳)の3分の1以上がバイセクシュアルだったそうですから、そこからするとまだ少なすぎるぐらいかもしれません。年寄り世代の間ではバイセクシュアルはまだまだ不可視化されてしまいやすい(『LGBTは~』とかなんとか言いつつ、同性愛者またはトランスジェンダーの人々のことしか念頭に置いていない意見のなんと多いことか!)ものですが、今後それも少しずつ変わっていくのではないでしょうか。とりあえず、『ストレンジャー・シングス』や『リバーデイル』でシャノン・パーサーのファンになった人たちが、これから「LGBT(もしくは『LGBTQ+』、『セクシュアル・マイノリティ』etc.)は云々」という文言を見かけたとき、「Bはどうなってる?」とナチュラルに気にかけてくれるようだといいなと思います。