石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。内容は主に(1)LGBTニュース、(2)ガール・オン・ガールのポップカルチャーなど。

元海軍の米外科医がトランスジェンダーの軍人への無料手術を申し出る

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トランプ米大統領が先日「多額の医療費」などを理由にトランスジェンダーの人々の軍入隊を禁止すると発表したことを受け、元米海軍の女性外科医が、トランスの軍人の性別適合手術を無料で担当すると申し出ています。

詳細は以下。

American doctor offers free surgery for trans military personnel following Trump ban · PinkNews

この申し出をしたクリスティーン・マッギン(Christine McGinn)医師は、自身もトランスジェンダーで、年間最優秀航空医官にノミネートされたことがある人です。現在ペンシルバニア州で日常的に性別適合手術を手掛けている彼女は、訓練された軍人を失うコストは医療費よりも「指数関数的に大きい」とし、もし政府がトランスジェンダーの人々の手術費用を負担しないのなら自分が無料で手術すると言っているとのこと。以下、彼女の発言です。

「最高司令官が在郷軍人を大事にしないのなら、在郷軍人がやります」

「わたしが既に手術の予定を組んであるたくさんの人々を、無料で手術します」

“If the commander-in-chief won’t take care of our veterans, our veterans will.

“I will do surgery for free on the number of people that I have already lined up for surgery.”

ちなみに先日の記事でもちょっと触れましたが、トランスジェンダーの軍人の性別適合手術などにかかる医療コストは最大でも840万ドルなのだそうで、国防総省全体での医療コスト493億ドルに比べれば「ごくわずかな額」だとCNNは指摘しています。ちなみにペンタゴンはトランスの軍人にかかる医療費の約5倍のお金(4160万ドル)をバイアグラに費やしており、さらに軍楽(military music)には4億3千7百万ドルもかけているらしく、トランプが何をもってトランスの医療費を「多大」と言っているのかは謎に包まれています。結局のところ、マッギン医師の以下の発言が正鵠を射ているのでは。

「明らかな差別ですよ」と彼女は言った。「小学5年生にでもわかると思います」

“It’s obvious discrimination,” she said. “I think any fifth-grader could see that.”

2016年の大統領選でトランプが勝利を収めた直後、差別を恐れて法律上のジェンダー変更を急ぐ人々のために、数々の弁護士たちが無償で(pro-bonoで)手助けを引き受けていたことをふと思い出しました。あのときは弁護士、今は医師。一旦事あればこうしてすぐ有志が助けを申し出るというのが米国の底力だと思いますが、そもそも差別がなければ助けもいらないわけで、しかも大統領自ら差別の震源地になっているというこの事態には頭が痛くなります。You deserve a better president, America.