石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『ブラック・ミラー』S3E4「サン・ジュニペロ」が第69回エミー賞で2冠(追記あり)

Emmy Award
Emmy Award / ITU Pictures

Netflixオリジナルドラマ『ブラック・ミラー』S3E4「サン・ジュニペロ」が、第69回エミー賞リミテッドシリーズ/テレビ映画部門作品賞(テレビ映画)と脚本賞に輝きました。女性同士のラブストーリーの回ですよ!

‘Black Mirror: San Junipero’ Wins Emmy For TV Movie | Variety

『ブラック・ミラー』は、オムニバス方式のSFドラマ。以下、Netflix より「サン・ジュニペロ」のあらすじを引用します。

1987年、とある海辺の街で知り合った内気なヨーキーと社交的なケリー。狂おしいほど惹かれ合った2人は、時間も場所も超えて互いを求めるが…。

暗い話が多い『ブラック・ミラー』の中で、このエピソードはやや異彩を放っています。暗い部分もつらい展開もあるのですが、後半に予想外のひねりがあるんですよ。あのラストシーンときたら、80年代を知る全レズビアンが号泣するわ。受賞スピーチの中で、脚本家のチャーリー・ブルッカー(Charlie Brooker)は同エピソードについてこんなことを言っています。

「2017年は『閉じ込められた』年だ、『永遠に終わらないブラック・ミラーのエピソードの中に閉じ込められたようだ』と言われるのを耳にしました。しかし、もし自分が脚本を書いていたのなら、この手のナチスや憎悪がそこまで正しいなんて話にはならなかっただろうと思いたいです。『サン・ジュニペロ』は愛についての物語で、愛は憎悪を打ち負かします。愛は勝つのです」

"I have heard 2017 described as being trapped, like being trapped in one long unending ‘Black Mirror’ episode. But I like to think if I had written it, it wouldn’t be quite so on the nose with all this sort of Nazis and hate. ‛San Junipero'was a story about love and love will defeat hates, love will win."

スピーチの動画は以下をどうぞ。

なおチャーリー・ブルッカーは今年、この「サン・ジュニペロ」で、エミー賞リミテッドシリーズ/テレビ映画部門脚本賞を受賞しています。つまり「サン・ジュニペロ」が2つの部門で勝利をおさめたわけで、レズビアンにとってはクリスマスと新年が一緒に来たも同然。「サン・ジュニペロ」は今年のエミーでコメディ作品部門脚本賞を取った『マスター・オブ・ゼロ』S2E8「サンクスギビング」(レズビアンのカミングアウト物語)と同じく、単発でいきなり見ても楽しめるお話ですから、未見の方はぜひチェックを。

追記(2017年9月19日)

受賞後のチャーリー・ブルッカーのツイート。訳:「ケリーとヨーキー、2017年」。