石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的備忘録。

焼き殺されたゲイカップルの追悼プレートが汚される 仏パリ

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パリのモントルグイユ(Montorgueil)通りの敷石には、18世紀に同性愛者であるために焼き殺されたカップルを追悼する記念プレートがはめ込まれています。そのプレートが塗料で汚され、チラシで覆われているのが発見されました。

詳細は以下。

Vandals deface plaque to executed French gay couple


写真はこちら。

汚される前と後との比較写真はこちら。

このプレートは、1750年に同性愛行為の罪で逮捕されてパリ郊外で火刑にされた、20代の靴直し職人Bruno Lenoir氏と、40代の従者Jean Diot氏を追悼するもの。フランスが同性愛を非犯罪化したのは1791年で、このふたりは同国でゲイだという理由で死刑に処せられた最後のカップルなのだそうです。

今回プレートに貼り付けられたチラシの文面を直訳すると「子供を作るためには、わたしは男(人間)で、ゲイじゃない」という不思議な内容となるのですが、これについてはTowleroadのコメント欄の以下の指摘が興味深かったです。

この文章(("Pour faire un enfant: je suis un homme et pas un gay")はどう見ても流暢なフランス語じゃない。わたしはむしろ、「子供を作るためには男が必要だ、ゲイではなくて」のようなことが書いてあるんじゃないかと思っていた。ここに書かれているような、(『子供を作るためには、わたしは男でゲイじゃない』)という文ではなくて。

The text ("Pour faire un enfant: je suis un homme et pas un gay") certainly doesn't suggest fluent French. I'd have expected something more like "To make a baby, it takes a man, not a gay" ("Pour fair en enfant, il faut un homme pas un gay") rather than what was written ("To make a baby, I am a man and not a gay.")

ということはフランス語が第一言語でない人か、第一言語であっても標準的な文章を書くのが苦手な人の犯行なのかしら。

ちなみに2018年5月にも、この記念プレートに供えてあった花が燃やされるという事件が起こっているのだそうです。でもまあ驚かないわ、1998年の反パックス運動のとき、同国にどれだけひどいヘイトスピーチが満ちあふれ、ホモフォビックな暴力が起こったか知ってるから。以下、『〈同性愛嫌悪(ホモフォビア)〉を知る事典 』(ルイ=ジョルジュ・タン編、明石書店)から引用しますが、2018年の日本でも大変好まれているこんな意見が大真面目に主張されてたんですよ。

  • 「社会を構成する構成員の再生を行うのに不適切な同性愛は、本質的に社会にとって致命的な行いである」(ジャン=リュック・オベール[フランスの法律家、パリ第一大学名誉教授]、1997年12月17日)
  • 「同性愛は社会の退廃、病気である。マイノリティを考慮に入れることはできない」(保守系大衆紙『フランス・ソワール』の法律解説)
  • 「私は大声で叫ぼう。同性愛者でありながら幸せになることはできないと断言してもよい」(セバスティアン『ゲイになるな、不幸になるぞ』(1998))

それでも反パックス派は敗れて(1999年にパックス法が成立し、2013年には同性婚およびゲイによる養子縁組を認める法律が成立)、今があるわけです。今さらこの程度の古典的な憎悪扇動に怯むと思ったら大間違い、拳を突き上げて「ふざけんな」って言い続けるのみだわ。