石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

今週の未紹介LGBTニュース(2018年10月21日)

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トランプ支持者は「白人ヘテロ男性はマイノリティーより差別されている」と思ってる

Trump Voters Say Straight White Men More Discriminated Against Than LGBTQ People, Minorities: Poll - Towleroad Gay News

世論調査企業のユーガブ(YouGov)と英国の雑誌「エコノミスト」の調査で、2016年の大統領選でトランプに投票した人は、異性愛者の白人男性はLGBTQの人々や、人種的マイノリティーや、女性よりも差別されていると信じているという結果が得られたそうです。

この世論調査(結果全貌)は、全米の成人1500人を対象に2018年10月14日から16日にかけて実行されました。調査項目の中には、宗教的信念や人種、ジェンダー、LGBTであるかどうかによってカテゴライズされた複数のグループが、現在の米国でそれぞれどれぐらい差別されているかについて答えてもらうというものがありました。回答は選択式で、選択肢は「まったく差別されていない」、「それほど差別されていない」、「かなり差別されている」、「とても差別されている」の四つです。

トランプに投票した人は、この項目で「男」は「とても差別されている」と答えた人が18%、「かなり差別されている」と答えた人が31%で、つまり計49%が男は差別されているとしたのだそうです。しかし彼らの中で、以下の人々が差別されているとした人の割合(『とても差別されている』と『かなり差別されている』と答えた人の合計)はこんな。

  • 「女」:30%
  • 「LGBTQの人々」:41%
  • 「アフリカ系米国人」:38%
  • 「メキシコ系米国人」:42%

Towleroadのコメント欄のこのツッコミがすべてだと思います。

女性を性的に虐待することが許されないというのは差別ではない。マイノリティーを差別できないようにされるというのは差別ではない

Not being allowed to sexually molest a woman is NOT discrimination. And taking away their ability to discriminate against minorities is also NOT discrimination.

合わせて読みたい:Mass shootings show why we must stop pandering to white male fragility | Laurie Penny | Opinion | The Guardian

ミレニアル世代は他の世代よりカミングアウトが早い(米調査)

Queer Millennials Are Coming Out Sooner Than Older Generations

ゲイ男性向けの医療サービスを提供している米NYの企業、Bespoke Surgicalの調査で、ミレニアル世代のLGBTQ+の人々は上の世代よりカミングアウトが早いという結果が得られたそうです。

この調査で比較されたのはベビーブーマー世代(1946-64年生まれ)、ジェネレーションX(1965-85年生まれ)、ミレニアル世代(1981-96年生まれ)の三世代。結果として、ミレニアルは上の世代より4-5年早く(平均18.1歳)カミングアウトする傾向にあり、自分がLGBTQ+であると気づく(同16.1歳)のも、デートし始めた(同17.1歳)のも、LGBTQ+の人としての性的初体験の年齢(同18.1歳)も、年上世代のLGBTQ+の人たちより早かったというデータが得られたとのこと。

若者が周囲からの圧力に合わせてシスヘテロのふりをしなければならない期間がそれだけ短縮されてるってことだから、いいことだと思うわ。なお、調査結果のまとめはこちらで見ることができます。

リッポンやル・ポールが中間選挙投票呼びかけ

米国のオープンリー・ゲイのフィギュアスケーター、アダム・リッポン(Adam Rippon)や、ドラァグクイーンのル・ポール(RuPaul)が、11月の中間選挙で投票するようにと動画で呼びかけています。

アダム・リッポンはまず中間選挙とは何で、なぜそれが大事なのかというところから説明しているし、ル・ポールは選挙人登録の仕方から教えるという親切さです。「有名人は政治的な発言を自粛すべき」みたいな奇矯な考えがはびこってない国って、いいなあ。

ドラァグのスーパーヒーローアニメ『Super Drags』オフィシャルトレイラー

<「a href="http://www.ishiyuri.com/entry/2018/06/06/super-drags-teaser">Netflixがドラァグのスーパーヒーローアニメ『Super Drags(原題)』トレイラー公開 - 石壁に百合の花咲く」の続報。この番組のオフィシャルトレイラーが発表されました。

動画はこちら。

本作品はNetlix初のブラジル製アニメシリーズで、「レモン・シフォン」、「クランズ・サファイア」、「クリムゾン・スカーレット」という名の3人のドラァグクイーンが世界を救うというもの。お下劣ギャグありリップシンクありロマンスありの内容で、ヘイターも出てくればレズビアンも登場するらしいです。11月配信開始らしいけど、日本のNerflixでは現時点でトレイラーも見られません。やるのかしら、日本でも?

一卵性双生児が同時に性別移行 米ジョージア州

Identical Twins Transition Together: WATCH - Towleroad Gay News

米国ジョージア州の一卵性双生児、ジェックとジェイス・グラフェ(Jack and Jace Grafe)さんが、自分たちが一緒に性別移行したいきさつについて語っています。ふたりは15歳のとき、性別違和があることをお互い打ち明けあっていて、21歳で同時に性別移行したのだそうです。ジェイスさんは、ジャックさんがいてくれたおかげでお互い味方になることができた、もしひとりだったら自死を考えていたかもしれないし、絶対に孤独だったろうと話しています。性的マイノリティは人種的マイノリティとは違って家族の中でも孤立してしまいがち(親兄弟が全員シスで自分だけトランスとか、みんな性愛者で自分ひとりがAセクシュアルとか)なものなんですが、その点彼らはついていたのかもしれませんね。

ピザ屋でプライドTシャツを着ていた客が追い出される イスラエル

A gay student says a pizzeria kicked him out for wearing a Pride T-shirt / LGBTQ Nation

イスラエルのヘブライ・ユニオン・カレッジに通う米国人学生が、プライドTシャツを着ていたことを理由に同国のピザ店を追い出されたとFacebookで訴えています。この学生、サミー・カンター(Sammy Kanter)さんによると、彼が2018年8月3日、胸にレインボーカラーで"Cinci"(彼の故郷のシンシナティの略)と書かれたTシャツを着てイスラエルのピザ店に入ったところ店員からゲイかと聞かれ、そうだと答えたところ、ドアを指さして「出ていけ」と言われたのだそうです。

皮肉なことにカンターさんはその前日、イスラエル・プライドで「隣人を汝自身のごとく愛せ」と書かれたプラカードを持って参加していたのだそうです。「イスラエルはユダヤ人がいつでも安心していられる場所」、「LGBTQの権利に関しては世界的リーダー」などと聞かされて育ったというカンターさんは、この国がどんなにすばらしいかと何年も言い続けてきたが今日はそうできないと述べています。あと最後の捨て台詞がいいわ。

ああ、それとピザ屋の人のことだけど、ジャーナリズム専攻生をいびるだなんて、まずい相手にちょっかいを出したもんだね!

Oh, and by the way pizza guy, picking a journalism major was the wrong person to mess with!

ちなみにイスラエルでは性的指向にもとづく差別は違法で、カンターさんは少額訴訟で判例を作りたいと考えているとのこと。訴訟で勝ち取ったお金は、LGBTQ団体に寄付するつもりだそうです。とりあえず同国が「LGBTQの権利に関しては世界的リーダー」だというのは政府のプロパガンダであって、額面通りには受け取れないと思うんだけど、裁判で判例を作るってのは大事よね。今後のニュースを注意して見守ることにします。