石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

PS2ゲーム『ストロベリー・パニック!』(メディアワークス)レビュー

Strawberry Panic!ストロベリー・パニック!  (通常版)

Strawberry Panic!ストロベリー・パニック! (通常版)

注:管理人は『ストロベリー・パニック!』はアニメも漫画も文庫もいっさい観た(読んだ)ことがありません。あくまで予備知識ゼロでゲームだけプレイした人間の感想だと思ってお読みください。

野郎の妄想のにおいがプンプンする怪作

こいつはくせえッー! 野郎の妄想のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!! こんな怪作には出会ったことがねえほどになァーーーッ

……といきなりジョジョ調で始めてしまいましたが皆さんついて来れてますかこんばんは。それにしても、ここまで「少女」の香り皆無な百合ゲーなんて初めて見ました。どのキャラも全て、へったくそなネカマにしか見えません。ひょっとしたら最初から100パーセント「ネタ」として作られたゲームなんですかこれ?

このへんは良かったんですが。

任意の場所でどこでもセーブでき、ファイル数も50と充分なのはありがたいですね。既読スキップやクイックセーブ&ロードも便利だし、チュートリアルがついているのも親切で良いと思いました。

他に良かったところは思い当たりません。

このへんはひどかった。

少女というより昆虫、カエル、またはホステス(ホスト)

プレイヤーキャラの編入初日から、まるで回転寿司のように次から次へと攻略キャラが出てくるんですが、全員相手のことを何も(完全初対面で、容姿・学年程度のこと以外は本当に何も!)知らないうちから異様にベタベタしすぎで変です。その姿はあたかも「目の前の動くもんにとりあえず飛びついてサカる交尾期の昆虫、またはカエル」のようで、たいへん不気味でした。

初対面でなくなってからも、キャラクタたちのトークはまるで安っぽいホストかホステスみたいで、おそろしくつまんないです。相手の人間性などまったく関係なしに(そもそもキャラクタの内面がわかるような深いエピソードなど皆無)、ただ媚売ってベタ褒めしてハートマーク乱舞させてるだけなんだもん。少女たちの百合物語と見せかけて、その実「昆虫、カエル、またはホステス(ホスト)」しかいないってのはすごいですね。

どこまでも「野郎のなりきり遊び」のかほり

たとえば、「1日使って汗とかトイレ後の手とか拭いたはずのハンカチを攻略キャラにあげる主人公」とかさ。きたねーよ、そんなもん人にやるなよ! ごく一部の夢見る男性ならば「純真な乙女のハンカチなら汚くない!」と思うのかもしれませんが、それはやっぱり使用済みパンツに大枚はたいたりトイレの汚物入れからタンポン盗んだりして喜ぶちんこ付き生物の発想であって、乙女の発想ではないと思います。

他にも、女性には共感できそうもないシーンがてんこ盛り。体操着が今時ブルマーだとかね。相手が眠っている間に同意がないエロ行為をしたとかしないとかほのめかして、それを聞いた方もまんざらでもなさそうにしてるとかね。水着を着たところを見せろとしつこく要求するとかね。キャラクタ達がこういうことにまるで違和感を持っていないあたりは、どう見ても、男性(それも、発想がすごーくステレオタイプな男性)が乙女のキグルミを着てなりきり遊びをしてるようにしか思えませんでした。そうそう、日記の文面が完全ネカマなところも萎え。

ストーリーがただの「おつかいRPG」

「おつかいRPG」というのは、ファミコン時代によくあった、「このツボをどこそこまで運んでくれ」とか「この弁当を誰それに届けてくれ」という単純極まりない展開だけで話が進むゲームのことですが、特に渚砂×静馬ルートがそればっかりで嫌になりました。やたらと物を拾ったり運んだりするばかりで(数えたら1日5回も物拾ってましたよ渚砂。)、まともなストーリーラインなんて皆無。PS2というハードで、しかも百合ゲーで、今さら『ケルナグール』みたいな単純なおつかいRPGをやる必要がどこにあるんでしょう(いや『ケルナグール』面白かったんですけどね)。

キャラクタの見分けがつきません

「プレイヤーキャラ3人×攻略キャラ9人で計27通りのカップリングが!」というのが売りらしいんですが、肝心の攻略キャラが薄っぺらでほとんど見分けがつきません。一瞬、「単純に人数が多すぎるせいだろうか」とも思ったのですが、同じ百合ゲーでも『サフィズムの舷窓~an epic~』なんて、落とせる(ありていに言って、「セックスできる」)キャラが10人以上いるにもかかわらず、全部きっちり見分けがつきますよね。というわけで、このゲームは単にキャラ造詣が下手なんだと気づきました。いくら人数がたくさんいたって、言動が「お姉様系」と「妹系」のほぼ2パターンしかないんじゃ意味ないでしょ。

まとめ

愛も恋も夢もなく、乙女の皮を被った野郎が安いホステスみたいに媚を売りながらハートマーク乱舞させてるだけのゲームです。「壮大なネタ」としてツッコミながらプレイする以外の楽しみ方は思いつきませんな。ちなみにわたくしは常時「はいはいホステスホステス(天音の場合は『ホストホスト』)」「はいはい男男」「はいはいおつかいRPGおつかいRPG」と唱えながらプレイしたですよ。

補足

男の子モード? プレイしてませんが何か?