石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

「アオイシロ―花影抄―(第1話)」(原作:麓川智之、漫画:片瀬優、ジャイブ『月刊コミック ラッシュ』2007年7月号掲載)感想

キャラの見分けがつかず、つかみも弱い感じ。

「キャラクタの見分けがつけづらい……」というのが第一印象でした。同作者さんによる「アカイイト―花影抄―」の前編でもそういう印象はうけたのですが、今回はゲームすらやっていない(そもそもまだ発売されていない)作品のため、「ど、どれが誰で、どう性格が違うの?」と混乱しまくりました。3回読み返してようやく「梢子と綾代を見分けるにはヘアピンの有無を、百子と保美を見分けるにはリボンの有無を見ればいい」と把握したものの、それだけで疲れてしまって、お話の中には没入できずじまい。もっとも、第1話だけあってまだストーリー自体には大きな動きはなく、ほぼ登場人物紹介と状況説明だけで終わっているので、没入も何もないかも知れませんけれど。

欲をいうと、話のどこかにもうすこし強烈な「つかみ」が欲しかったかなあ。もしもこれがゲームなら、主題歌にのせてバスが走り、眼下に海が開ける、みたいなオープニングをアニメーションで展開してみせてプレイヤーの注意をひきつけることも可能だったでしょうが(ほら、PCゲーム『カタハネ』冒頭の電車のシーンみたいにね)、漫画だとそういった演出もできないため、あの構成ではややおとなしすぎるかと。単に平凡な高校生が平凡に合宿に行って平凡にお寺に着きました、みたいな感じになっちゃってませんか、これ? 

平凡といえば、主人公のはずの梢子の性格にほとんど特徴がなさそう(今のところ)なのも困りもの。これがゲームであれば、プレイヤが自分を投影しやすいようにあえて平凡な主人公を据えるというのはありだと思うんですよ。しかし、漫画でそれをやっても、ひたすら読みにくいだけです。梢子がどんな子なのかまったくつかめないうちに他のキャラがどんどん出てくるために、余計に冒頭で書いたような「うおー見分けがつかーん、性格もわからーん」って事態を招いているんではないかと思いました。そのへんがもう少しひねってあったら、もっとよかったかも。いずれにせよ、お話自体の詳しい感想は第2話以降を読んでからにしたいと思います。