石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『箱館妖人無頼帖ヒメガミ(5)』(環望、講談社)感想

箱館妖人無頼帖 ヒメガミ(5) <完> (マガジンZコミックス)

箱館妖人無頼帖 ヒメガミ(5) <完> (マガジンZコミックス)

最後まで熱く突っ走る百合伝奇アクション

いやあ熱かったー!! これで最終巻となるのですが、最後の最後までキレのいいアクションとサスペンスがお話を盛り上げまくっていて、全身の血液がフットーしそうでした。彪(ひょう)とヒメカの関係も、「甘える/甘えられる関係」から「対等な相棒であり恋人」というところまでのダイナミックな変化を遂げていて、実によかったです。最終話のふたりの会話なんて、萌え殺されるかと思いましたよもう。欲を言うなら伏線の回収にもう少し冊数をかけてほしかったところですが、掲載誌(マガジンZ)休刊とあってはそれもいたしかたないかと。とにかく、1巻からこの5巻までまるごと、本気でおすすめできる百合伝奇アクションだと思います。

キレのいいアクションとサスペンス

戦闘シーンは相変わらず迫力満点です。彪やヒメガミだけでなく、男性キャラたちもここぞというところで大活躍するのがよかったなー。また、ラスボス的なあの人たちとの戦闘での絶望感、そして捕らえられたヒメカに迫り来る危機など、背筋をゾクゾクさせるような「怖さ」の描写も素晴らしかったです。

彪とヒメカの関係

序盤では、ようやく黒後家楼の戦いのダメージから回復した彪が恥ずかしがりながらもヒメカのおっぱいに顔を埋めて甘えていたりして、これはこれでラブラブでいいんですよ。が、この巻の真骨頂は、その後。凄絶な戦いの中で彪がヒメカを守り抜いて到達する、「対等なパートナーであり恋人」という境地が、それはそれはぐっときます。「守られる」立場だった彪が今度は「守る」立場に回り、最終的に肩を並べてお互いを認め合う存在になる、というドラマティックな展開が、本当にみごとでした。

最終話のふたりの会話

詳しいことは伏せますが、p. 187の

バーカ 知ってるよ

あたりの会話のラブラブ度と言ったら! 萌え転がりすぎて畳の目がすり減りそうな勢いでした。力強く、かつかっこいい百合エンドだと思います。

欲を言うなら

伏線の回収をあの人の台詞で一気に終わらせるのではなく、もう少し冊数をかけてお話の中で見せてくれたらもっと嬉しかったかも。ただ冒頭にも書きましたが、これは掲載誌休刊の憂き目に遭った作品ですので、そこまで要求するのはいささか酷かと。むしろ、この条件下でここまでバシッと決まったラストを披露してみせた離れ業に大拍手です。

まとめ

「少年漫画たるものかくあるべし」と言いたくなってしまうほど熱い最終巻でした。彪の成長を軸にしてヒメカとの愛がさらに深まっていくところがいいし、和風伝奇なアクション漫画としてもすばらしかったです。いつかまた、この作者さんの熱い百合アクションが読めたらいいなあと思います。