石壁に百合の花咲く

いちレズビアンの個人的メモ。

『お願い神サマ!(1)』(守姫武士、芳文社)感想

お願い神サマ! (1) (まんがタイムKRコミックス)

お願い神サマ! (1) (まんがタイムKRコミックス)

マリみてリスペクトな純情百合コメディ

百合漫画『アリマさんが見つめてる』をこよなく愛する柚梨子(ゆずりこ)と、そんな柚梨子を愛する実優(みゆ)が織りなす純情百合4コマ。いやー、これはかわいい。アホかわいい。リリカルなシチュエーション満載なのに、緊張と恥ずかしさから乙女心はいつも空回り。気づけば清楚な百合空間は味噌汁や尻文字に浸食され、まさしく「現実とはいつもぶどうジュースと間違えて飲んだバルサミコ酢のよう」(p. 46)。でもでも、やっぱりどこまでもキュートなんですよこの2人。そっと絡める指と指(p. 63)とか、雨宿りでのドキドキ(p. 90)とか、やることなすこと初々しくて、「ザ・思春期」な感じがたまりません。

いちばんよかったのはp. 96の2人で虹を見る場面です。それより少し前に、

「この景色があと何度か変わったら…もう一緒にいられなくなるんですね…」

「……うん…」

なんて会話があり(p. 48)、あわや「百合は思春期限定のもの(はぁと)」路線かと警戒させられる部分があるんですよこのお話。あえてそういう前フリをしておいてからこの虹の場面を持ってくるというところが、実に心憎いなあと。台詞(伏せときます)もぐっとくるし、そもそも虹ってゲイ・プライドの象徴でもあるしで、読んでてとても嬉しかったです。

まとめ

可愛らしさと大ボケの配合が絶妙な逸品。マリみてフォロワーの中で頭ひとつ抜けてる独創性を高く買いたいです。もうリリカルなだけの百合では物足りないとお嘆きの方はぜひご一読を。